全てあなたの音です。
79 | 39 | |
1004 | 白銅貨を拾い上げて、 砂を払いのけてみて、 与太話を飲み込むので、 麻酔がかかりました。 薄汚れた切先の錆、 二束三文の蚊帳、 お得意様の言う通り、 過大評価で括りましょう。 紙飛行機を握りしめて、 しどろもどろに乱れ、 冗談を履き違えては、 身も蓋もありませんね。 |
♩♩ | 72 | |
2101 | 成すが儘に植え付けられて、 逃げ道の場所を探し続ける。 朦朧とした意識の中、 我を忘れるのです。 形を留めぬ亡骸が、 乱雑な文字で手紙を綴る。 泣けど喚けど届きはせず、 意味を成さないのです。 酔いが醒め、 戻れなくなり、 憂いを拵えました。 それは是非を問わぬ鉤爪で、 浮世は夢と存じます、 沙汰に魘されど道は崩れ、 未だ喧しいのです。 それはポリュビオス換字表が、 混晶にうな垂れる様で、 鏡合わせの道は繋がり、 抗うことは無いのです。 砂を噛まし傷つけられて、 弁償の対価に牙をむける。 手にしたものは一夜の後、 害を及ぼすのです。 応報を残した劇物は、 存在することもできずにいる、 透歯の桶で水を掬い、 偽善と知るのでした。 巻き戻し、 柵を断ち、 耐えられなくなりました。 それは是非を問わぬ鉤爪で、 浮世は夢と存じます、 沙汰に魘されど道は崩れ、 未だ喧しいのです。 それはポリュビオス換字表が、 混晶にうな垂れる様で、 鏡合わせの道は繋がり、 抗うことは無いのです。 引きずり方を、 思い起こしてしまいました。 全てあなたの音です。 それは是非を問わぬ鉤爪で、 浮世は夢と存じます、 沙汰に魘されど道は崩れ、 未だ喧しいのです。 それはポリュビオス換字表が、 混晶にうな垂れる様で、 鏡合わせの道は繋がり、 抗うことは無いのです。 引きずり込まれ、 思い出せずにいるのですが、 可能性は無いのです。 |
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3178 | 穴を開けられた両の手で、 漏れ出た黒い液を掬い取る。 得体の知れない温かさが、 傷口に染みるのです。 穴を開けられた両の目で、 青く輝く其れを見続ける。 柔らかな人工の光が、 静かに網膜を焼き切るのです。 荒れ果てた地に残る、 腕を千切られた振り子時計が、 今 終末の鐘を、 鳴らそうとして首を刎ねるのです。 不快な音も言葉も、 夢も記憶も感情も過去も、 顕在化した心地良さでは、 毒にも薬にもならないのです。 見えないモノを見たがり、 信じ難い事を信じ続け、 自我を取り戻せどすでに遅し、 死が迫るでしょう。 全てあなたの音です。 穴を開けられた両の手で、 有りもしないモノを掴んでいた。 其処に感触はある筈なく、 虚無だけが残るのです。 穴を開けられた両の目で、 漠然と外を眺めていたよ。 此の世に存在する全てに、 取るに足る意味は無いのですから。 影も陽も有らず、 ただ曖昧な光芒が照らし、 映された人々は、 善も悪も分からなくなるのです。 誰も終わり方を知らない儘、 誰かがそれを繋ぎ合わせていく、 誰かが意志を残そうとしても、 やがて無慈悲に黒く塗り潰された。 不快な音も言葉も、 夢も記憶も感情も過去も、 顕在化した心地良さでは、 毒にも薬にもならないのです。 見えないモノを見たがり、 信じ難い事を信じ続け、 沢山の影に囲まれて、 身動きが取れずにいた。 |
干渉 | 56 | |
1672 | 誰も気づいていない場所から、 誰にも気づかれぬ様に。 誰も気づかないふりをしてる、 あなたはどこにいるの? 何もそこにいない筈なのに、 何かの光が射してる、 何を見ることも叶わないなら、 わたしはなんだというの? それは耳から砂を零す様だった。 脊髄という名の化合物が、 自ら四肢を操って、 やがて我々を蝕み続け、 真似事を始めるのです。 誰もそれに気付かないことを、 誰かに教えたくて、 誰もがそれに支配されてる、 あなたもおなじように。 何もそこにいない筈なのに、 何かの音が聞こえる。 何も隠していない筈なのに、 わたしをさがしているの。 それは遠い惑星に堕ちる様だった。 名の無い星という名の悪意が、 自らの作為をもとに、 やがて我々を引き裂き始め、 干渉を始めるのです。 |
♩ | 149 | |
3198 | 静寂に彩る花びらは、 鮮やかな色を纏い、 安易に近づく獲物を待ち、 甘美が溶け出した蜜で誘い、 おびき寄せられた者たちを、 呑み込んでしまいました。 虹彩の運ぶ蔓延は、 誤謬が生み出した雪景色。 夕照待たず崩れ落ちる。 全てが遅すぎました。 暗影に連なる階段は、 薄暗く汚れていて、 ひとつひとつ駆け上がる毎に、 下の方から薄れ消え始め、 行き場を無くした我々を、 閉じ込めてしまうのです。 改竄を走る凍傷は、 心臓に発露した雪景色。 束ねた露光に降り注ぐ、 全てあなたの音です。 未だ物言わぬ信号は、 黒塗りの秘匿を炙り出し、 寒空を滴る血液が、 緩やかに背筋を伝うのです。 虹彩の運ぶ蔓延は、 誤謬が生み出した雪景色。 夕照待たず崩れ落ちる。 全て■■■の音です。 可能性は無いのです。 |
♫♫[short] | 42 | |
1363 | 未然形の血が迸る、 嫋やかな毒を添えて。 矩形波は未だ爪を剥いで、 涙が止まらないのです。 息も絶え、 脳漿が漏れ、 体が動かなくなる。 粗鋼の虎挟に、 足を掬われたのなら、 黒い霧が無くなるまで、 下を見てはなりません。 飛び交う断末魔に、 足が竦む様ならば、 決して聞いてはなりません。 全てあなたの音です。 |
♩♩♩ | 97 | |
3787 | 穴を開けた両腕は、 猜疑心に断ち切られ、 二つの切断面には、 蛆虫も湧かないのです。 穴を開けた両脚は、 もはや記憶も失い、 嘗て脅かしたモノに、 怯えている様でした。 撃鉄の無い麻酔銃が、 誰を撃つのか分からず儘、 妄信と憎悪が、 牙を剝くのを見守るのです。 不快な音ばかりが、 交差するこの場所では、 過去の名前も、今の報いも、 その全てが意味を為さないのです。 知る事は罪であり、 知らぬもまたも罪であり、 目を開ける迄もなく気付くでしょう。 死に至る日を。 全てあなたの音です。 穴を開けた両腕は、 今や機能せずにいる。 爪も皮膚も腐り落ちて、 姿形を留めず。 穴を開けた両脚は、 歩く事も儘ならず、 此の世の言葉の意味など、 知る由も無いのでしょう? 陰を食らい、光を呑み、 それでも尚、欲に塗れて、 標的を定めて、 次の獲物を待ち伏せるのです。 他人を貶し、 自己をも貶し、 自ら縄で首を絞めたのは、 傲慢を餌にして肥大した、 被害妄想の、 末路でした。 不快な音ばかりが、 交差するこの場所では、 過去の名前も、今の報いも、 その全てが意味を為さないのです。 知る事は罪であり、 知らぬもまたも罪であり、 目を開ける迄もなく気付くでしょう。 可能性は無いのです。 |
ハービサイド | 57 | |
1904 | 孤独の怠惰に身を任せた、 希死念慮と自己嫌悪。 風向きに任せた乖離の先、 行く末も知れず。 見捨てた空は既に暗闇、 黒に飲み込まれた街。 噛み砕いた氷晶石の味、 とうに思い出せず。 逃げ込んだ先は不毛の大地、 犇めく嘘の憐憫。 蔓草の絡んだ走馬灯に、 未だ追い付けず。 解毒されたディストピアの先、 酷く歪んだ光景。 意気地なしの浄化に耐え切れず、 合鍵は破綻した。 甘い蜜を垂らし、 悪人はそれに引き寄せられて、 張り巡らせた意図に気付かずに、 愚かさを露呈させる。 そして炙り出された、 腕を外された泥人形、 相反する二つの思惑が、 鏡を脅かすのです。 惨状の先に辿り着いた、 終わりなき因果の果て。 過去を根掘り葉掘り晒し上げて、 溜飲を下げる。 記憶の底へと消えたものは、 やがて毒物に変わり、 血液の循環を悪くして、 視野を狭めるのです。 悪意はまた悪意を生み出し、 憎悪へと移り変わる。 裏切り者は裏切られました、 全てあなたの音です。 見捨てた空は既に暗闇、 黒に飲み込まれた街。 一人として残らず消えていく、 全てあなたの所為です。 |
リューゲ | 44 | |
1300 | 木漏れ日の照らす封筒に、 紛い物の語り部が集まる。 病葉が残した寂寥が、 藍色に染まるのです。 霜に焼けた残滓は美しく、 雨に濡れた縁は悍しく、 足枷が未練から外れず、 仮初と知るのでした。 陽炎が融かす油絵に、 牙を抜かれた亡骸が眠る。 昔日に魘され目を覚まし、 栞を挟むのでした。 霜に焼けた残滓は浅ましく、 雨に濡れた縁は恐ろしく、 足枷が未練から外れず、 間違いと知るのでした。 餞別は霧の中に、 名残りは雲と共に。 解けた絵空事は塵となり、 独り善がりの儘。 物語に追悼を、 後悔に訣別を。 解けた絵空事は塵となり、 独り善がりの儘。 |
塵 | 42 | |
1354 | 誰かの声が、 助けを呼んでいた。 誰もが見て見ぬ振りをして、 影は融けて消えた。 塵の先では、 祟りがお目見えで、 有刺鉄線が巻き付いた、 皮膚は爛れていた。 孤独の迷路に囚われた、 盲信は酷く哀れなモノで、 嘘吐きたちを丸呑みして、 冒涜となりますか? 常に選択を間違えた、 茶番劇は間もなく幕を閉じ、 ずっと前から聞こえていた、 全てあなたの音です。 役目を終えた、 冬が解け始めた、 姿形もとうに忘れ、 床にこびり付いた。 塵の先には、 祟りが御出ましで、 暗闇に引きずられた者は、 首を落とすのです。 指先の末路を妬んだ、 プリズムの記憶は遥か彼方、 光と影の繋がりなど、 理不尽には見えぬでしょう。 除け者は踏み台にされて、 形有るモノはいずれ崩れる、 ずっと前から気付いていた、 全てあなたの音です。 常に選択を間違えた、 茶番劇は間もなく幕を閉じ、 ずっと前から聞こえていた、 全て■■■の音です。 それはいつしか、 塵に塗れていて、 悪夢であることを知らずに、 終わりを告げました。 |
嬰/変 | 52 | |
1515 | 絡まったケーブルが火花を散らし発煙する。 潜在的な危険に誰も気付かないまま。 嵩を増す赤錆が排水溝を詰まらせ、 どろりとした心情が床に溢れこびり付く。 街の端に、 一人佇む、 電話ボックスが誘い、 ダイアルに手を掛けてしまえば、 飲み込まれてしまうでしょう。 ガタリと響く作動音、 機械油の臭いで目が眩み、 真空管が映し出す、 件が語る予言には、 従うべきではありません。 帰りのバスの中は恐ろしいほどに静かで、 座席に残る誰かのどす黒い影を見た。 古いエレベーターの黄ばんだボタンを押して、 ワイヤーの軋む音にこの身を預けて願う。 六つの銭を、 束ねて置いて、 苔むした淵に腰掛け、 出鱈目な抑揚と記憶で、 其の唄を歌いました。 破滅を導く警告、 窓に逆立つ照照坊主、 罅割れた硝子が映す、 件が語る予言には、 従わなくてはなりません。 街の端に、 一人佇む、 電話ボックスが誘い、 ダイアルに手を掛けてしまえば、 飲み込まれてしまうでしょう。 ガタリと響く作動音、 機械油の臭いで目が眩み、 真空管が映し出す、 件が語る予言には、 破滅を導く警告、 窓に逆立つ照照坊主、 罅割れた硝子が映す、 件が語る予言には、 従わなくてはなりません。 |
帰り道で見えた夕焼けが | 32 | |
778 | 鳥が囀る、 虫が騒めく、 夏も躊躇う程の暑さで、 風は儚く、 雲は寂しく、 何処かへと消えていった。 防災無線のチャイムが、 いつも通りの擦れた声で、 時間通り鳴り響いて、 それに驚き空を見上げた。 帰り道で見えた夕焼けが、 いつもより何故か眩しく感じ、 飲み込まれてしまわぬ様にと、 走って家に帰りました。 鳥も囁く、 虫も静まる、 夏も戸惑う程の暑さで、 風は儚く、 雲は寂しく、 向かう先も分からずに。 在りし日の夏の記憶は、 とうに忘れてしまったけれど、 何故か懐かしい気がして、 それに驚き空を見上げた。 帰り道で見えた夕焼けが、 いつもより何故か眩しく感じ、 飲み込まれてしまわぬ様にと、 走って家に帰りました。 我が物顔の夕日も、 その日の終わりと別れであり、 夜の帳が下りたら、 暗闇に姿を消すでしょう。 帰り道で見えた夕焼けが、 いつもより何故か眩しく感じ、 飲み込まれてしまわぬ様にと、 走って家に帰りました。 風は儚く、 雲は寂しく、 何処かへと消えていった。 |
ティニタス | 63 | |
1521 | 地平線の遥か彼方、 鳥が逡巡する。 夜明けの風は悍ましく、 憂いに先立つ。 静閑と見つめるあなたは、 何を思うの? 何を探すの? 寒空の意思と知らず儘、 誰が為に花は開くのでしょう。 寂寥の囚われ人が、 北風に嗚咽する。 取り繕いの暗がりが、 無常を隔てる。 静閑と俯くあなたは、 何に戸惑う? 何を躊躇う? 寒空の意思と知らず儘、 誰が為に花は枯れるのでしょう。 残り香を描く潮時は、 惨憺たる謂れだと云う。 独りよがりの耳鳴りに、 頭を抱えるが儘。 残り香を描く潮時は、 惨憺たる謂れだと云う。 独りよがりの耳鳴りに、 頭を抱えるが儘。 |
プレリュード | 43 | |
1027 | 虚無が広がるこの場所に、 一人取り残され戸惑う。 たとえ誰かに付き添えど、 心の孤独は消えずに。 果てしなく広がる景色、 その殆どに触れれずに、 全てを理解したくとも、 ジレンマに悩まされた。 虚空が広がる夜空で、 星々が健気に輝く。 たとえそれらが火の玉で、 意志を持たぬモノだとしても。 果てしなく広がる景色、 その殆どは無意味です。 誰が為には有らぬのです。 誰のモノでもなくて。 背負うべき意を持たぬなら、 それは無価値だと定まるか? 無価値は罪か? 無価値は悪か? 背負う程の価値はあるか? 上辺の取り繕いでも、 無意味な見て呉れだとしても、 弱者は縋るしかないのです。 価値にありつけるその日まで。 |
流転 | 77 | |
2637 | 誰もいない筈の部屋で、 誰かに見られてる。 得体の知れない感情に、 ドアを阻まれて。 誰もいない筈の部屋で、 誰かに聞かれてる。 誰にも言えない秘密すら、 全て知られてる。 一時的な流行に、 中身などは無く、 それはテレメトリ信号が、 残した意思でした。 何も見えない暗闇の中、 声を枯らして叫ぶだけ。 歪んだ音だけが反響し、 秩序の崩壊を告げる。 誰もいない筈の部屋に、 誰かがそこにいる。 形を持たぬ影の群れが、 僕を取り囲む。 誰もいない筈の部屋で、 誰かの声を聞く。 敵か味方かも分からずに、 耳に囁いた。 無に等しい責任を、 押し付け合うだけ、 それはテレメトリ信号が、 残せぬ意思でした。 何も見えない深海の底、 腕の無いまま藻掻けども、 光も届かぬこの場所では、 全てが無駄に終わるだけ。 |
無題かも。 | ||
インスト曲 |
iⁱ | ||
合作 | 9030 | 目を閉じた、孤独に。 カゲが色褪せるまで。 偽物の陽炎が、ヒトを欺いた。 気味の悪い隙間に、無謀にも近づいた、 堕落したヒトダマが、 手を拱いていた。 醜悪すら手放しして喜ぶのならば、 無知の怠惰を炙り出す方が相応しいのか? 意地汚さすら啄む甘い泣き言では、 帰り道を得る保障にさえ成らぬだろう。 歩く事すら害悪の膿となるならば、 爛れ、 焼けた、 この命を、 悪魔にさえ捧げよう。 穢された血の名の下に、 自己嫌悪の果実は実るのでしょう。 カゲに蝕まれた案山子が、 吊るされ、 干乾び、 涙を流す。 されど彼の貪欲さはまるで、 螺旋階段の様。 禁じられた灯火が夜明けを照らす。 幾何かの憂慮の上では蛇足だが、 虚仮威しまで衒うのは、安堵の為だろうか? 最早、釈然の記憶は行き詰ってしまった。 それが崇拝の意味だと分らない儘。 身震いをした、 錠前は外れる筈がないのに。 助けを呼んだ、叫びを上げた、 夥しい憎悪に、 追い付かれていた。 掴まれていた。 人形は未だ掌で、 手足をもがれて弄ばれていた。 罰は悪足掻きにも為らず、 動けぬようにと口を塞がれた。 酷く錆び付いたレコードが、 世迷言を繰り返す。 辛うじて残った意識で藁に縋った。 昔日を幾度も裏返した。 未来を、 脆く、 淡く、 白く、 黒く、 惨く、 強く、 拒んだ。/目を開けた、孤独に。 カゲが色褪せるまで。 偽物の陽炎がヒトを欺いた。 気味の悪い隙間に、無謀にも近づけば、/どうにもならずに、きえてしまうようです。 堕落したヒトダマは消える。/ぐずぐずと音を立て憎しんだ。 あなたを。 あなたを? あなたを! 穢された血の名の下に、 自己嫌悪の果実は実るのでしょう。 カゲに蝕まれた案山子が、 吊るされ、 干乾び、 涙を流す。 されど彼の貪欲さはまるで、 螺旋階段の様。 禁じられた灯火が夜明けを呑み込むから。 先に進めず、 後にも戻れず、 物語の最後のページを、 破いたのです。 |
タウ[short] | 45 | |
1218 | 黄道沿いの海の浜辺では、 夜光虫の笑う声がする。 桜並木の法事の後は、 草の根も残らぬという。 師走行きの片道切符は、 斜方投射の盃を持ち、 梅雨前線の御出ましでは、 破傷風が足らぬという。 市松模様が住む、 烏揚羽のお墓参りが、 霜柱に杭を打ち込み、 崩れるのです。 三角関数は未だ災難で、 脇差で手帳を混ぜました。 私達はまだ胚ですが、 あなたは既にタウとなりますか? 白銅貨を井戸に投げました。 終わりは見えていますか? |
スーアサイド (CXXXII mix.) | 76 | |
1460 | 孤独な円を描く怠惰は、 耽々と人を狙う。 夕焼けが眩しいあの日のあなたを、 想い出すのです。 見上げた空は既に暗くて、 光線が此方を指す。 砕けたラピスラズリの破片の先、 水の音がした。 向かう先は存在せぬ街、 逃げ出して笑い合った。 心臓に触れぬ様、 釘を打ち込み、 点を描き出す。 彼らが目指した楽園とは? そして今の幻聴は? 帰らぬ人を見ては忘れていく、 未だ終止符を打てず。 甘い蜜にも、 虚像の群れが、 神経内で破裂して、 蝸牛で響きました。 今、確かに見えたのは、 腕が外れた模造品たち。 敵対する二つの生命が、 鏡をかたどるのです。 心を潰した職人すら、 灯篭の目を齧った。 根も葉も無い事を喋り尽くして、 矢を射るのですか? 狡く光るその羅針の下、 燃え盛る火種が吠え、 血液の循環が悪くなり、 視野が狭くなるのか。 負の連鎖はもはや歯止めを知らず、 独りよがりを知る。 人を殺したのもまた人で、 全て常世の所為です。 偶然を装うその糸は、 じりじりと歩み寄って、 ひとり、またひとりと消えてゆく、 全てあなたの所為です。 |