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木漏れ日の照らす封筒に、 紛い物の語り部が集まる。 病葉が残した寂寥が、 藍色に染まるのです。 霜に焼けた残滓は美しく、 雨に濡れた縁は悍しく、 足枷が未練から外れず、 仮初と知るのでした。 陽炎が融かす油絵に、 牙を抜かれた亡骸が眠る。 昔日に魘され目を覚まし、 栞を挟むのでした。 霜に焼けた残滓は浅ましく、 雨に濡れた縁は恐ろしく、 足枷が未練から外れず、 間違いと知るのでした。 餞別は霧の中に、 名残りは雲と共に。 解けた絵空事は塵となり、 独り善がりの儘。 物語に追悼を、 後悔に訣別を。 解けた絵空事は塵となり、 独り善がりの儘。