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静寂に彩る花びらは、 鮮やかな色を纏い、 安易に近づく獲物を待ち、 甘美が溶け出した蜜で誘い、 おびき寄せられた者たちを、 呑み込んでしまいました。 虹彩の運ぶ蔓延は、 誤謬が生み出した雪景色。 夕照待たず崩れ落ちる。 全てが遅すぎました。 暗影に連なる階段は、 薄暗く汚れていて、 ひとつひとつ駆け上がる毎に、 下の方から薄れ消え始め、 行き場を無くした我々を、 閉じ込めてしまうのです。 改竄を走る凍傷は、 心臓に発露した雪景色。 束ねた露光に降り注ぐ、 全てあなたの音です。 未だ物言わぬ信号は、 黒塗りの秘匿を炙り出し、 寒空を滴る血液が、 緩やかに背筋を伝うのです。 虹彩の運ぶ蔓延は、 誤謬が生み出した雪景色。 夕照待たず崩れ落ちる。 全て■■■の音です。 可能性は無いのです。