支離なあなたの所為です。
練習 | ||
泣いているあの声がまだ誰かに語りかけてる。 悲しみだけ見ていた。 暗がりから。 足を引かれていることに気付かないままでいる、 あなたが追いかけてたその人は誰? 逃げ惑うその声がただ雨だけ語りかけてる。 間違った色だけが塗られた眼で。 居ないと知っていて知らない素振りを見せている。 あなたが固執しているそのモノは何処? 流木で形どられた様なそれは、 いつも音の體だけを見ている。 解かれずに壊れて瞞す心に這う、 見えない傷がまだ背後に張り付いてる。 溶かしても朽ちない穢れが、 盲信を加速させ、耐えきれずに。 弊えたあの喉が声を出せずに漂っている。 苦しみだけ見ていた。 外側から。 綻んでいることを思い出せないと知っていた。 詭弁に縋ってたあの影は誰? 縫い付けたその腕が針を見つめ叫んでいる。 溝に沿いゆくだけの陋劣だと。 向かうべき方向も錯乱され見失っている。 輪郭が歪みだすその影は何処? 未練から習わない哀れなそれは、 いつも消えない傷だけを増やしている。 軟調な歌達を唆す鍵盤に、 痕を残す汚れが瞼の裏に顰む。 身を重ねて沈む衒いが、 盲信に混ぜ込まれ水底まで。 |
プラクティ | ||
誰も居ない南の泉で 鍵を掛けた哀憐に、 虚構を纏った重力が 離愁へ沈む。 その思慮は浅く、 只繰り返す、 摘み取った花は藤色でした。 擦り切れた喉を潰すのは、 誰の為と知らぬ儘で。 角を矯めた者の姿を 哀れと論ずる者が、 静寂を失った水面へ 淡く消え征く。 それは浅ましく、 ただ顧みず、 罪を観た花を散らすのでした。 虚ろに響く水の音は 誰の為でもないと知るのでしょう。 (嗚呼) 塗り重ねて隠した過去を晒し、 脆弱に啄めば砕けて、 繋ぎ合わせたとしても、 前非は還らず、 旗を揚げる。 廻り続けた意味が耳に咲き、 花を焼いて煙が雲を裂く。 夜に囚われて、 独りよがりの儘、 灰と泥んで征く。 |
支 | ||
並び立った壁は酷く鮮やかで、 時計の裏に宵の静かな瞼が開く、 廻る未知の、街灯が点滅して、 秒針の音が曇り空を突き刺した。 一つの扉があり、 光を隔つ、 暗く閉じる部屋に囚われて、 不可思議な妄言を、 積み重ねてきたのです。 ひたりとした唸り声、 なり損なう協和音、 鼓膜をあらく破られて、 頭蓋の奥で八咫烏が謡う。 「時を戻すことはできないのです。」 繋がらない右目の虹彩が見え、 捻じれ曲がって非定常化されたシニフィアン、 黒い羽の現実性が抜け落ち、 際限のない鏡に知覚を落とす。 気づけば遠回しの、 雨に打たれて、 灰色の自我を見つめたまま、 不可侵な焦点と、 目を合わせていたのです。 不透明な慟哭と、 蔦が絡み合った音、 鼓膜を惨く破られて、 呵責を辿る五寸の針が、 元に戻すことはできないのです。 一つの扉があり、 光を隔つ、 暗く閉じる部屋に囚われて、 不可思議な妄言を、 積み重ねてきたのです。 ひたりとした唸り声、 なり損なう協和音、 鼓膜をあらく破られて、 頭蓋の奥で八咫烏が謡う。 不透明な慟哭と、 蔦が絡み合った音、 鼓膜を惨く破られて、 呵責をたどる五寸の針が、 元に戻すことはできないのです。 |
離 | ||
並び立った壁は酷く鮮やかで、 時計の裏に宵の静かな瞼が開く、 廻る未知の、街灯が点滅して、 秒針の音が曇り空を突き刺した。 一つの扉があり、 光を隔つ、 暗く閉じる部屋に囚われて、 不可思議な妄言を、 積み重ねてきたのです。 ひたりとした唸り声、 なり損なう協和音、 鼓膜をあらく破られて、 頭蓋の奥で八咫烏が謡う。 「時を戻すことはできないのです。」 繋がらない右目の虹彩が見え、 捻じれ曲がって非定常化されたシニフィアン、 黒い羽の現実性が抜け落ち、 際限のない鏡に知覚を落とす。 気づけば遠回しの、 雨に打たれて、 灰色の自我を見つめたまま、 不可侵な焦点と、 目を合わせていたのです。 帰納的な応報と、 詩が騒ぎ出した様、 止まる衝動は委ねて、 烏を誘う暮雲の差異が、 元に戻ることはできないのです。 一つの扉があり、 光を隔つ、 暗く閉じる部屋に囚われて、 不可思議な妄言を、 積み重ねてきたのです。 示唆に富んだ怨みとて、 肺を侵す猛火の様、 粗雑と逸る猿真似で、 鎖の牢へ嘲笑う落莫。 帰納的な応報と、 詩が騒ぎ出した様、 止まる衝動は委ねて、 烏を誘う暮雲の差異が、 元に戻ることはできないのです。 |
練練練 | ||
足を折り曲げ、 耳を削ぎ取り、 囀る水が流れ落ちる。 木陰に潜む体は、 朽ちてゆくのでした。 腕を引き裂き、 口を縫い付け、 知る術を失い固まる。 遠くの空にはやがて、 月が落ちるのでした。 韻に分けられた記憶が、 言葉を脆く模って、 溢れ出す盲信と 歩みを止めました。 不合理になぞらえて、 無い爪に火を灯した。 毒に溺れた欲望たちが、 体の芯を蝕むのです。 不足を嘆く者が、 それを補うことは無く、 ただ否定を続ける私は、 死に至る筈。 全てわたくしの所為です。 拉げた足は両目を潰し、 投げる命が流れ落ちる。 知らないことすら既に、 理解できないのです。 引き裂かれた両の指先で、 網の向こう側を探る。 意味を持つ事だけでは、 此処は成り立たないのです。 熱を読み込む陰影が、 塗炭のように慰んで、 火が広がった地底に 潜り込むのでした。 ただ緩やかに祈り続けて、 見つけ出した答えの先へ、 輝銀の弾丸に脳梁を、 刻み込むのでした。 不合理になぞらえて、 無い爪に火を灯した。 毒に溺れた欲望たちが、 心の芯を蝕むのです。 不足を嘆く者が、 それを補うことは無く、 網の間から覗き込んだ、 支離なあなたの所為です。 |
練練 | ||
途絶えた銀色の液体が、 強く染みるヒビ割れた目で、 手を伝う言い訳が蔦になり、 縺れて千切れた。 節の奥に入れ込んで征く、 懐かしむ勧懲に沿って、 霞む囁きの天に描く、 萼の雨調。 鐘を割り、 歪めた弱り、 色が薄れ終わるまで。 それは消えずに染み付いた、 卑屈の異物であり、 改めず座り込んだ畦で、 土埃になるのです。 それは形で在るが故の、 深い後悔であり、 手を伸ばしても届かない実の、 種が零れるのです。 藪の中に佇んでいる、 鏤骨の折れたはためきが、 傷を癒やすことも出来ずに、 ガラクタを嘆く。 鉛が跳ね回り更けて征く、 錯乱した意表はやがて、 過ぎた誤ちは逆さまに、 欺瞞が空回り。 梃子を割り、 沈めた弱り、 塗り重ねて終えるまで。 それは消えずに染み付いた、 卑屈の異物であり、 改めず座り込んだ畦で、 土埃になるのです。 それは形で在るが故の、 深い後悔であり、 手を伸ばしても届かない実の、 種が零れるのです。 通ずる儘で、 思い出すまで覆いかぶせる、 支離なあなたの所為です。 それは消えずに染み付いた、 卑屈の異物であり、 改めず座り込んだ畦で、 土埃になるのです。 それは形で在るが故の、 深い後悔であり、 手を伸ばしても届かない実の、 種が零れるのです。 切り取られた儘、 柔らかい場所に只、 居座り続けたのか。 |
練 | ||
白い箱の中の中で、 疲れたまま走ったら、 黒く光る台にぶつかり、 認めた過去を盗られる。 泳いだ繰り返しのあと、 煤ばむ屋根の上で、 企てを行動に移す。 想いを伝える為に。 眠りに落ちる水の中、 たわむれに溶け出して、 心地悪いさえずりの中、 湿って侵される。 漏れ出た白い液体が、 面体に溢れてきて、 ひとくち含む間もなく、 驚いて声が出た。 熱くなって、暗くなって、 映し出されたモノが、 夢か現かもわからない。 もう元には戻れない。 書き表わす接岸の中、 たわむれに溶け出して、 心地良い体感の中、 支離なあなたの所為です。 絡まった網の上で、 どこにも行けず。 書き表わす接岸の中、 たわむれに溶け出して、 心地良い体感の中、 全て██の所為です。 たくさんの人の目に、 晒されてたのか。 |
ダスティ | 47 | |
1529 | 浅い水槽に飛び込んだ、 名を持たない幼い法螺貝が、 たじろいで、 喉を塞ぎ、 責を飲み込んで、 井戸に投げた。 塗り重ねた解が音を晒し、 脆弱な腕が口を棄てる。 朝を忘れ、 ほろく消える。 毒消しが游ぐ砂の中で。 旗を立てた川舟の上、 彼の音の流れは止むことがなく、 足を折り、 螺旋の手が、 沈んだ目を閉じて、 雁が舞い散る。 廻り続ける意味が耳に咲き、 葉を焼いて烟が雲を裂く。 夜が泣いて、 淡藤に染まる。 透明にくゆる砂を。 塗り重ねた解が音を晒し、 脆弱な腕が口を棄てる。 朝を忘れ、 ほろく消えて潰える。 全て惜別の所為です。 |
晶晰 | 48 | |
1788 | 心底に溶け込んだ、 迫る塗炭の火、 体側を余剰に、 穿孔をする小半時。 途絶えた心象は、 確かだった万障。 輻輳へ鳴りを潜め、 倦厭は脈打ち出す。 態様への蹉跌は覆われて、 均衡を取り戻した。 哮る。 絶える。 還る。 叫ぶ。 記憶が憂いを呻き出す。 誤り隔てた惜別に。 陰影へ慰んだ、 衒う五感と韻、 僭称の余地はなく、 表層は顕在化する。 在りし日の虚言は、 入り交じって溶ける。 透明な鏡を割り、 白金が雨を降らす。 知性への重力を踏み潰し、 警醒に傾くのです。 染める。 終える。 浮かぶ。 消える。 記憶は思考の軌道まで。 失くした■■■の惜別へ。 |