泣いているあの声がまだ誰かに語りかけてる。 悲しみだけ見ていた。 暗がりから。 足を引かれていることに気付かないままでいる、 あなたが追いかけてたその人は誰? 逃げ惑うその声がただ雨だけ語りかけてる。 間違った色だけが塗られた眼で。 居ないと知っていて知らない素振りを見せている。 あなたが固執しているそのモノは何処? 流木で形どられた様なそれは、 いつも音の體だけを見ている。 解かれずに壊れて瞞す心に這う、 見えない傷がまだ背後に張り付いてる。 溶かしても朽ちない穢れが、 盲信を加速させ、耐えきれずに。 弊えたあの喉が声を出せずに漂っている。 苦しみだけ見ていた。 外側から。 綻んでいることを思い出せないと知っていた。 詭弁に縋ってたあの影は誰? 縫い付けたその腕が針を見つめ叫んでいる。 溝に沿いゆくだけの陋劣だと。 向かうべき方向も錯乱され見失っている。 輪郭が歪みだすその影は何処? 未練から習わない哀れなそれは、 いつも消えない傷だけを増やしている。 軟調な歌達を唆す鍵盤に、 痕を残す汚れが瞼の裏に顰む。 身を重ねて沈む衒いが、 盲信に混ぜ込まれ水底まで。