誰も居ない南の泉で 鍵を掛けた哀憐に、 虚構を纏った重力が 離愁へ沈む。 その思慮は浅く、 只繰り返す、 摘み取った花は藤色でした。 擦り切れた喉を潰すのは、 誰の為と知らぬ儘で。 角を矯めた者の姿を 哀れと論ずる者が、 静寂を失った水面へ 淡く消え征く。 それは浅ましく、 ただ顧みず、 罪を観た花を散らすのでした。 虚ろに響く水の音は 誰の為でもないと知るのでしょう。 (嗚呼) 塗り重ねて隠した過去を晒し、 脆弱に啄めば砕けて、 繋ぎ合わせたとしても、 前非は還らず、 旗を揚げる。 廻り続けた意味が耳に咲き、 花を焼いて煙が雲を裂く。 夜に囚われて、 独りよがりの儘、 灰と泥んで征く。