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浅い水槽に飛び込んだ、 名を持たない幼い法螺貝が、 たじろいで、 喉を塞ぎ、 責を飲み込んで、 井戸に投げた。 塗り重ねた解が音を晒し、 脆弱な腕が口を棄てる。 朝を忘れ、 ほろく消える。 毒消しが游ぐ砂の中で。 旗を立てた川舟の上、 彼の音の流れは止むことがなく、 足を折り、 螺旋の手が、 沈んだ目を閉じて、 雁が舞い散る。 廻り続ける意味が耳に咲き、 葉を焼いて烟が雲を裂く。 夜が泣いて、 淡藤に染まる。 透明にくゆる砂を。 塗り重ねた解が音を晒し、 脆弱な腕が口を棄てる。 朝を忘れ、 ほろく消えて潰える。 全て惜別の所為です。