全て私の思い出です。
トラジック | 15 | |
389 | 飛び跳ねた三面鏡、 かすかな星が瞬き消える。 きっとその後の夢には、 何も残らないのかな。 いつか見ることになるのでしょう、 閉塞感や、 寂しさだとか、 一人空に佇んで、 君が望むままに歌いましょう。 終わり見えぬ扉の先、 水面に映る懸崖の街。 未だ消えぬ感情は、 幾億と残るのだろう。 ついに消えることはないのでしょう、 開放感や、 感慨だとか、 哀<あい>する君のために、 楽<かな>しみだけを塞いでいよう。 終の地に足をつけ、 見つけたのは、君が残した希望。 夢の終わり際にあの木陰は、 儚く光り、征く。 終の地に足をつけ、 見つけたのは、君が望んだ未来。 夢が終わったなら、あの夏影は、 忘れ去られるでしょう。 |
記憶 | 43 | |
892 | 君が待ち望んでいた終末が、 一つ夢に混じっていく。 忘れられない真実が、 二つ影に残っていく。 私が恋い焦がれた邂逅が、 三つ忘れ去られていく。 それでも君一人だけ、 微かな思い出を、 零から作り出した。 幸せのピアノの音色が響いていた。 君が見た、在りし日の思い出を、 大切にして、結んでいこう。 私が得た、その体温は、 死んでも忘れないよ。 君が見た輝いた真実が、 一つ空から落ちてくる。 見えやしない偽の言葉が、 二つ地に生えてくる。 僕が待ち焦がれた天望を、 三つ手に残していく。 それでも君一人だけ、 微かな思い出を、 零から記録していた。 へたっぴなリコーダーが響く部屋の中、 君が見た、幸せの欠片を、 大切にして、紡いでいこう。 僕が得た、この右の手は、 死ぬまで離さないよ。 きっと、この記憶は、 一等星のように、光り輝くでしょう。 それでも、いつか、 命途切れる時、輝き、散るのでしょう。 |
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567 | 閑静響く路地裏の先、 季節外れの花が散りだし、 理由なしの陰口が、 案外心地よくて。 類の見ない散々たる街、 陰険的な絵画を描き、 野山の向こう、彼の子は、 知恵を探るのでしょうか? 山を越え、 夏を思いだし、 頭がとろけました。 それが見えてきた夢の中、 望みは打ち砕けて、 受け入れる間も僅か、遠方、 とうに燃え失せるのです。 それを生み出す道の端の、 微か残る煙の味。 信号が語る真実などは、 時に裏目に出るのです。 計算崩れた反復作業、 荘園飛ばす未知の濁りが、 笑う乱世を蹴り飛ばし、 一人たたずむのでしょう。 基盤に張り付いた心臓が、 継ぎはぎだらけの手をほだかし、 居場所なき塀の塊を、 亡き者にしていくのです。 川を潰し、 秋を破りて、 足が割れ始めました。 それが見えてきた夢の中、 望みは打ち砕けて、 受け入れる間も僅か、遠方、 とうに燃え失せるのです。 それを生み出す道の端の、 微か残る煙の味。 信号が語る真実などは、 時に裏目に出るのです。 その歩き方が、 数多の命を奪うのです。 全て私の思い出。 それが見えてきた夢の中、 望みは打ち砕けて、 受け入れる間も僅か、遠方、 とうに燃え失せるのです。 それを生み出す道の端の、 微か残る煙の味。 信号が語る真実などは、 時に裏目に出るのです。 忘れた傍観者は、 消えた紫苑の花を、 とうに見つけていたのか。 |
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575 | 帰りつくその前に 排水溝の裏見て 溢れ出た赤い事物が 私の身体を黒く染め上げ、 家に付いた頃にはもう ガラスが割れてました。 誰かの励ます声が、 地に落ち泣き、 そして腐っていく。 生えたあなたの片目はもう、 水に溶けてしまうのです。 流れ落ちた夢の事象が 心地よく歌いだして。 桜が私に問いかける、 「全てあなたの思い出。」 指から漏れた歌が 誰かを呼び覚ましてく、 過程の間に挟まれた、 私の影は溶けてなくなり、 家から出た頃にはもう、 蛙が死んでました。 混ざり、混ざる 記憶の川で。 優雅に咲いた、 星々の花。 川のほとりに、 見えた孤影は、 とうに消えたあなたなのか? 流れ落ちた夢の事象と 潰えぬ片の腕が、 歪み、綴り、陰りに落ちていく。 全て私の思い出。 流れ落ちた夢の事象が 心地よく歌いだした。 望まぬ死因を書き留めた、 全て■■の思い出。 紫苑の花が咲いた、 家の中で見た。 |
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259 | 穴の開いた壁の向こう、 空の匂いは見えなくて、 飛び出した■(ゆめ)の所為で、 動けずにいるのでした。 穴の開いた壁の向こう、 破片がそっと笑い合う、 密かな振動が、 地面を割り切りました。 満点の夢(そら)の下で、 君の視界と記憶とが、 歪んで、 千切れて、 落ちていった。 不快な音に塗れ、 愉悦がこびりついてた。 普遍とした日々の中へと、 蔓延した毒を撒くのです。 人と人を繋ぐ、 行動(しこう)は意味をなさず。 口を開けばついに、 血が垂れていた、 私の思い出の中。 穴の開いた床の向こう、 雨粒を拾い上げていた。 幻となるこの手は、 いつか歪んでいくのでしょう。 穴の開いた床の向こう、 悪夢を詰めた海となる。 一つ、一つこぼした声は、 意味を持ちだすのです。 流れ砕けたある望みを、 消えていく思い出に、 走り去るあなたを、 漂い去る。 夢の元に残してきた、 輝いていた日々の記憶だけを、 いつか取り戻しに行く為に 空いた雲の向こうへ走りました。 少しずつ離れる時の流れ、 あなただけ全てを理解して、 数多の骨を狙うようにして、 無関係者(あなた)は風邪を切り始めました。 不快な音に塗れ、 愉悦がこびりついてた。 普遍とした日々の中へと、 蔓延した毒を撒くのです。 見たい物は手にあらず、 恨みが積もっていく。 また開いた口の先に、 私の花を見ていた。 |