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帰りつくその前に 排水溝の裏見て 溢れ出た赤い事物が 私の身体を黒く染め上げ、 家に付いた頃にはもう ガラスが割れてました。 誰かの励ます声が、 地に落ち泣き、 そして腐っていく。 生えたあなたの片目はもう、 水に溶けてしまうのです。 流れ落ちた夢の事象が 心地よく歌いだして。 桜が私に問いかける、 「全てあなたの思い出。」 指から漏れた歌が 誰かを呼び覚ましてく、 過程の間に挟まれた、 私の影は溶けてなくなり、 家から出た頃にはもう、 蛙が死んでました。 混ざり、混ざる 記憶の川で。 優雅に咲いた、 星々の花。 川のほとりに、 見えた孤影は、 とうに消えたあなたなのか? 流れ落ちた夢の事象と 潰えぬ片の腕が、 歪み、綴り、陰りに落ちていく。 全て私の思い出。 流れ落ちた夢の事象が 心地よく歌いだした。 望まぬ死因を書き留めた、 全て■■の思い出。 紫苑の花が咲いた、 家の中で見た。