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穴の開いた壁の向こう、 空の匂いは見えなくて、 飛び出した■(ゆめ)の所為で、 動けずにいるのでした。 穴の開いた壁の向こう、 破片がそっと笑い合う、 密かな振動が、 地面を割り切りました。 満点の夢(そら)の下で、 君の視界と記憶とが、 歪んで、 千切れて、 落ちていった。 不快な音に塗れ、 愉悦がこびりついてた。 普遍とした日々の中へと、 蔓延した毒を撒くのです。 人と人を繋ぐ、 行動(しこう)は意味をなさず。 口を開けばついに、 血が垂れていた、 私の思い出の中。 穴の開いた床の向こう、 雨粒を拾い上げていた。 幻となるこの手は、 いつか歪んでいくのでしょう。 穴の開いた床の向こう、 悪夢を詰めた海となる。 一つ、一つこぼした声は、 意味を持ちだすのです。 流れ砕けたある望みを、 消えていく思い出に、 走り去るあなたを、 漂い去る。 夢の元に残してきた、 輝いていた日々の記憶だけを、 いつか取り戻しに行く為に 空いた雲の向こうへ走りました。 少しずつ離れる時の流れ、 あなただけ全てを理解して、 数多の骨を狙うようにして、 無関係者(あなた)は風邪を切り始めました。 不快な音に塗れ、 愉悦がこびりついてた。 普遍とした日々の中へと、 蔓延した毒を撒くのです。 見たい物は手にあらず、 恨みが積もっていく。 また開いた口の先に、 私の花を見ていた。