錆びた躰を削いで。
#40 | ||
目が、目が、悪い儘で、 いられたらよかったな。 あーあ。 ラジオはもう鳴らない、 アンテナを折られたから。 何も聞こえないはずなのに、 何かが私を揺らしている? 現実でしょうか、 弥速幻でしょうね。 苔生した墓石、 来客は暫く無し。 ならば今流れ出すのは、 誰のための袖時雨だろう。 目が、目が、よくなる、 見たくないモノが見える、 だが未だ貴方だけ、 暈けているような。 間近 我楽多の御手。 ダイヤルを回した、 歯車はもう無いけど。 何も聞こえないはずだから、 気が気じゃないことに気がついた。 徒事でしょうか、 将亦贖いでしょうか。 見透かされた不肖、 在来な虚仮威し。 柏手は響かない、 なら 其処に立っているのはだあれ? 見て見ぬフリは、 いつか己の首を絞め続ける、 酸化した足、 動けないな。 目が、目が、見えない、 ケラケラと笑い声、 貴方の輪郭が浮き出る、 錆びた躰を削いで。 |
碧を斥ける幽囚 | ||
21971 | 衝突かる讃美 動悸、 止むことのない古の詩、 迯げた先 貴方の影 焦げて、 目から離れない。 死に際、 天国の糸で編む死装束。 遠い昔を映画のように思う。 剥がれた爪、 黒を認め、 直に祟る。 過る鐘の音、 膿む両の目、 弾劾を望むだけ。 核を貫いた その銃声を、 重い鈍色を、 空に描く度、 淡く見据えていた、 命の先へ、 神輿を担げ! 枯れゆく足で。 明日を陽で雪ぐ、 頽落を成す、 日傘の中で、 叫びを聞いた。 「置いていかないで」、 幾ら経てども動けない。 錆びた躰を削いで。 神に厭われたアンファンテリブル、 毎日を蝕まれたミレニウム、 陸伍肆弐号室の扉、 臆病 承認欲求とドグマ。 衒々しい病に罹った民衆、 悪食ばかりに頼って顰蹙、 悲願たらしめる藁人形(スケープゴート)と、 被害者騙れる頭を問答。 可笑しくなっちゃうわ! 毒毒注がれる快楽が、 刻刻と悶える最悪、 咎める害悪、 愛無く育った此の為体。 其れでも心臓は回り続けた、 腑抜けの群れる所以は定かではないが、 来世に期待したいね! ひかりは消えた。 微かに残るメチルが酔わせたから。 殊更捩れた翼 羽撃かせた。 衝突かる讃美 狂気、 未だ聞こえる貴方の歌、 盈溢た血液を廻らせた、 機械を解いた。 動けない私を、 叱ってくれ。 貶してくれ! 掲げた盃、 咲かせた暁の夜、 飾るは幽囚の美。 碧を斥けて! |
降りてきて | ||
30738 | 「そんなに怖がらないで」、 貴方が笑う度、 私の胸を締めて気づいた、 雨が上がる。 返した牙骨無さとは、 裏腹 照らされる背中が、 暖かくて良かった。 土を踏んで、 付かぬ筈の足跡が上を、 書いていた。 寂しくなっても、 何時か迷わぬように、 引き返しここに戻れるように! あの景は遠く濃く、 どこまでも長く見えていた、 追いかけても追いかけても、 逃げていく。 幻でさえ掴めた筈… あの景は遠く濃く、 何時の間に私の後ろへ、 振り返れど振り返れど、 隠れる。 希う程見えなくなった。 「悲しい顔をしないで」、 あなたはそう言うけれど、 わたしの目は捉えてしまった、 傷の全て。 時間が無いと悟って、 駆け寄る。 取られた手、 映った赤い水に、 染まって。 幾度目かの桜が散りゆく様を、 見届け思い出す、 あなたが好んだのもここだと。 「降りてきてよ」、 無邪気に木に登って、 歌ってくれた、 懐かしい響きをまた聞かせてよ。 錆びた躰を削いで。 明日付けた筈の足跡が消えて、 来た道 分からなくても、 代わり 遺した声で、 少しずつ導いてあげるから! あの景は遠く濃く、 どこまでも長く見えていた、 追いかけても追いかけても、 逃げていく。 幻でさえ掴めた筈… あの景は遠く濃く、 何時の間に私の後ろへ、 振り返れど振り返れど、 隠れる。 希う程見えなくなって、 忘れる程強く焼きついた。 |
凍雨 [short] | ||
1350 | インスト曲 |
凍雨 | ||
15287 | あと幾つ回ったら、 幕を下ろせるだろう、 猪口才な小細工が、 剥がれかけるシナプス。 面影を追いかけ、 踏んだ足跡は見栄、 錻の歯車が、 黒紅を扱き垂らした。 星屑砕いては篩げる、 手元に残る我楽多。 譬え凍雨が滝落ち、 體を冷やして固めても、 照らしてくれると信じた、 貴方を心から信じた。 我武者に天之火が注いで、 躯が焦がれ死に至れど、 哭さずに送り届けてくれること、 自分勝手に求めていた。 僕の腸には、 針が千本刺さっている、 丁寧に丁寧に、 一つひとつ飲み干したよ。 貴方を欺いたから、 枯れた花に水を遣り続けている。 其れが贖罪だとか、 微塵も思ってはないけどさ、 紛らわしたいんだ。 見てられないことだらけだね。 然らぬ顔でもいいけど。 ちゃんと向き合った。 譬え凍雨が滝落ち、 體を冷やして固めても、 照らしてくれると信じた、 貴方を心から信じた。 我武者に天之火が注いで、 躯が焦がれ死に至れど、 哭さずに送り届けた、 安らかに眠れと念じた。 何時か荐りに降る凍雨、 静かに貫いた凍雨、 通り過ぎ涸れた空、 今確かに見送った碧い空、 滴る木の枝よりの水は、 何もかも 甦ラセ 巻キ戻シタ 奇跡と、 見紛うほどに、 誰かの為に光っていた。 錆びた躰を削いで。 |
貘 - 錆Remix | ||
12099 | 裁かれざる点描画、 令に悖り死を望んで、 雪冤に浸る許りで、 何が変わるのですか? 嘯を吐いて誤魔化しながら、 教唆犯の幸せを怨んでいる。 滾る血液で運んだ、 不甲斐なさを秘して。 肖る未来とは? 陽りの慈愛とは? 決め倦ねていた、 躄寄る骸に訊ね、 迷い迷い続けていたのでした。 裁かれざる点描画、 令に悖り死を望んで、 雪冤に浸る許りで、 何が変わるのですか? 閑古鳥の囀りを聞き 実行犯の密けさを嗤っている 漸 訛伝した聲だけ 忌み泣き崩れていく 蔓延る「嫌い」とは? 諫めゆく誓いとは? 非で溢れていた、 罪も罰も削げど戻れぬ、 嚥下 懺悔 渙然氷釈ならず。 招かれざる水墨画、 幾許の願いが届かずとも、 延命 捩れ軋むのは、 全てひかりの所為です。 虚に廻る時間も、 磔けられた写鏡も、 何方道涸れて失くなるなら、 下卑てよいのでしょう。 天誅! 裁かれざる点描画、 令に悖り死を望んで、 雪冤に浸る傍観者は、 何か変わりましたか? 御灯 苔を生した銅像は、 綰ねた翠を忘れぬ様に、 自ら破却した 怏々と、 錆びた躰を削いで。 捩れ軋むのは、 全てひかりの所為です。 |
雲霓アケルナル | ||
11949 | 嗄れても名を呼んだ。 拡声、 路地の標、 澱、 不遣雨と別れ、 語り部を寄越さないで、 記憶を何処にも残さないで。 隔世、 鳥を見つけ、 折、 彼のようにと言種う。 衍々哭く、 点々零つ、 変幻たる、 睥睨する、 際限無い、 遠回りの末、 帰りつけるだろうか? またね。 爛れ剥がれ給えと噛み付いて、 悪感情の多頭飼いで満たされて、 孰れ道連れに縺れ込んで、 盲に憑かれても、 見失わぬヨウに、 去りた貴方に据えて。 稚拙に踊り、 時化る神籬、 盈満の咎、 隻眼と靄、 杻械は外れ、 自暴自棄(やぶれかぶれ)、 手繰れ紛れ、 寒気と逆燻。 嗟来の食にも死に物狂いで、/化野 意志を未知と放り投げ、 余喘を保つも前途多難で、/所詮もふ明ける夜で不図屈んで、 徒花の盃で盞結ひ(うきゆい)を、/端から藻掻かすに寝首掻けば、/未だ未だ叩かせてよ出た杭を、 手記の杭を抜き終はらせやふ。/無理 怖いと避け拒んだの。/愚者に枚挙が無さすぎるよ。/昔話は聞き飽きたの。 畢竟 目睫の間に、 貴方の影が見えず、 今に泣き出しそうでも、 何時かの声に、 罪科の御手に、 ついていくから。 反響(ハウリング)、 飛ばす禁句、 兎角陣腐、 豚に真珠、 奴儕に轍鮒。 音の割れた救助要請(SOS)。 聞こえた気がして、 振り返らずにいられなかったんだ! 量れ 魂の釐等具で、 悪感情が荼毒を増して、 蝕んで。 済み済ましにした所で、 運次第の遊び(ゲーム)の弥終は果敢無いでしょう。 擂り警鐘を鳴らせ! 垂迹に、影向に、牴悟くことで、 無碍光も届かない、 掬いようが無くなっていく、 云わば其れが唯識の顕れだとしたら、 所詮穢れに穢れた私だった。 |
御諸に立つ | ||
インスト曲 |