目が、目が、悪い儘で、 いられたらよかったな。 あーあ。 ラジオはもう鳴らない、 アンテナを折られたから。 何も聞こえないはずなのに、 何かが私を揺らしている? 現実でしょうか、 弥速幻でしょうね。 苔生した墓石、 来客は暫く無し。 ならば今流れ出すのは、 誰のための袖時雨だろう。 目が、目が、よくなる、 見たくないモノが見える、 だが未だ貴方だけ、 暈けているような。 間近 我楽多の御手。 ダイヤルを回した、 歯車はもう無いけど。 何も聞こえないはずだから、 気が気じゃないことに気がついた。 徒事でしょうか、 将亦贖いでしょうか。 見透かされた不肖、 在来な虚仮威し。 柏手は響かない、 なら 其処に立っているのはだあれ? 見て見ぬフリは、 いつか己の首を絞め続ける、 酸化した足、 動けないな。 目が、目が、見えない、 ケラケラと笑い声、 貴方の輪郭が浮き出る、 錆びた躰を削いで。