全て記憶の所為です。
追憶 | ||
木漏れ日、埃を被った写真立てには、 誰もが忘れた記憶があるのです。 窓際、冷たい風に吹かれた信号、 曇った空から雨が降り始めた。 それでもこちらを見つめるあなたがいた。 灰色の世界に色を着けたのは、 他でもないその偶像の視線です。 手を伸ばしてもそれはすぐに消え去る。 空から落ちて体がぐちゃり、潰れていくのか。 ヘモフォビアの上、 一人、二人、死を選ぶ姿を、 晒されて虫にも値せぬ命は、 終焉という名の、 深淵を目にして、 覚悟を決めたのでした。 早朝、飛び立つスズメの親子が見え、 壊れたレコードを眺めて思い出す。 明るさが持つ暗さに気づかぬままで、 わたしは鍵を握りしめてみました。 それでもあちらを見つめるわたしがいた。 カラフルな世界の色を消して行く。 他でもない天狗の疑惑によって、 手を伸ばすことも出来ずに離れ行く。 地面へ落下し視界がぐらり、上下に回った。 ヘモフォビアの上、 一人、二人、死に至る姿を、 剝がされて虫すら寄らぬその命は、 脊髄という名の、 神経が腐って、 ピリオドを打つのでした。 |
ⅰ | ||
静かな部屋の中、 誰もいないはずなのに、 人の声が聞こえた気がした、 暗闇の中 思い馳せる。 空っぽの器が落ちて、 罅が入ってしまった。 分かりますか? 届いていますか? 何も語らずに、 逃げ込んで行く、 始まりと終わりは、 いつも表裏一体で、 トンネルの先。 たわむれに書いた歌を知り、 ひとりを淋しがれば、 心地よい音 傘の中で、 触るとこわれました。 水たまりにうつる赤、 怖くて震え止まらず、 人の声が聞こえた気がした、 誰もいないと分かっている。 矛先を向けられたのか、 凍えて死んでしまった。 見えていますか? 届いていますか? 何も変わらずに、 逃げ込んで行く、 幽冥界へと続く線路の先の方、 連れ去られて行く。 心地よい音 傘の中で、 ひとりを淋しがれば、 たわむれに書いた歌を知る、 全て記憶の所為です。 夜が明けて、 空が青く光っていた。 仲睦まじく話していた、 日々。 心地よい音 傘の中で、 ひとりを淋しがれば、 たわむれに書いた歌を知る、 全て思い出の所為です。 あなたの為に吐いた言葉が、 時に足を引っ張るのか。 |
ⅱ | ||
白、赤、青、黄色、 冷却の信号待ちの藍色、 赤色、緑色の光、 自転車を除く。 点字ブロックは黄色で、 電柱に貼り付けられた看板、 何色にも光りはしない、 壊れた自販機。 コンクリートの匂いです、 潜めば潜む程苦しく、 心、体、骨まで溶かし、 やがて消えるのです。 永久に終わらない夢の中、 あなたと見た月の光景を、 思い出すことは出来ても、 触ることは出来ないのです。 秘密を隠して、 時間軸が捻じれ落ちる。 〇、×、△、□。 放熱の信号待ちの凹凸、 ▽に繋げたら、 頭上にご注意。 あなたの答えは×でした、 捻じ曲がるガードレールの先へと、 赤色、緑色の瞳、 マイクロを除く。 アスファルトの匂いですか? 潜れば潜る程苦しく、 心、体、骨まで愛し、 そして消えたのです。 永久に終わらない夢の中、 あなたと見た月の光景を、 思い出すことは出来ても、 触ることは出来ないのです。 無造作に開く、ドアの先、 標識が歪んでも、 ずっと、ずっと、見えていた。 全て記憶の所為です。 永久に終わらない夢の中、 あなたと見た月の光景を、 思い出すことは出来ても、 触ることは出来ないのです。 永久に終わらない夢の中、 あなたと見た月の光景を、 思い出すことは出来ても、 触ることは出来ないのです。 あなたの為に書いた手紙が、 指先を傷付けたのか。 |
月に微睡む影の群れが | ||
無慈悲な蔑みが、 孤独さを増して襲い掛かる。 異常であり、かつ、気味悪く。 あなたは何を見た? 無慈悲な哀れみが、 孤独さを誤魔化しているのです。 誰の為に、手紙を書いた? あなたが何をした? 「正しさ」は正しくなくて、 終末世界を征く。 私が誰かも分からなくて、 時を刻むのも忘れて。 月に微睡む影の群れが、 ひとりでに動き出し今も尚、 出口を探し続けていた。 真夜中に沈んだよ。 長く、続く、道の先には、 何があるのかな。 辿り着く先は最期ですが、 「終わり」は幸せでした。 月に微睡む影の群れが、 ひとりでに動き出し今も尚、 記憶を隠し続けていた。 真夜中に沈むなら、 あなたと。 |
ⅰ[short] | ||
静かな部屋の中、 だれもいないはずなのに、 空っぽの器が落ちて、 ひびが入ってしまった。 たわむれに書いた歌を知り、 ひとりを寂しがれば、 心地よい音 傘の中で、 触るとこわれました。 水溜りにうつる赤、 こわくてたまらなくなり、 矛先を向けられたのか、 凍えて死んでしまった。 心地よい音 傘の中で、 ひとりを寂しがれば、 たわむれに書いた歌を知る、 全て記憶の所為です。 |
ⅱ[short] | ||
白、赤、青、黄色、 冷却の信号待ちの藍色、 赤色、緑色の光、 自転車を除く。 コンクリートの匂いです、 潜めば潜む程苦しく、 心、体、骨まで溶かし、 やがて消えるのです。 それは終わらぬ夢の中、 あなたと月を見た日を、 思い出すことは出来ても、 触る事は出来ない。 秘密を隠して、 時間軸が捻じれ堕ちる、 全て記憶の所為です。 白、赤、青、黄色、 |
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静かな部屋の中、 だれもいないはずなのに、 空っぽの器が落ちて、 ひびが入ってしまった。 たわむれに書いた歌を知り、 ひとりを寂しがれば、 心地よい音 傘の中で、 触るとこわれました。 水溜りにうつる赤、 こわくてたまらなくなり、 矛先を向けられたのか、 凍えて死んでしまった。 心地よい音 傘の中で、 ひとりを寂しがれば、 たわむれに書いた歌を知る、 全て記憶の所為です。 |