全て思いの所為です。
デメンツ | ||
758 | あれは東の方、 噎び泣く声を聴いたから。 火蛇に彫りこまれた、 松の模様で鬱となった。 夢を見る。 覚えている。 確かなことは、 掴めぬまま。 夢を見る。 焦がれている。 其処にあるのは、 名ばかりだと。 灰汁を啜り、 痺れた味覚。 黒くささめく、 声忘れ。 杖に憑くが、 闌けない遺体。 割れた足では、 何もできず。 見えますか? 聞こえますか? 此処にいるのは、 凡夫であり、 得てますか? 分かりますか? 確かに其処は、 名ばかりだと。 閉じた地平と、 囚われた言葉。 表と裏に位置しているそれは、 二律背反の余儀なくし、 片手落ちで終わってく。 凍えた黒と、 動けない白痴が、 踊りで舞い夢を見ていたことで、 色が褪せたこの視界では何も、 何も起こらないだろう。 何も起こらないはずだ。 |
蕣 | ||
336 | 朝焼けをなぞった、 柵に巻きついてる、 夏の終わり 心に託されて、 蝕まれてく。 恥ずかしさを見せないように、 一つ二つ、顔を隠した。 儚さを抱いて腐敗した、 既に手遅れでした。 顔が溶けて 美談となった、 ひとつひとつ 罪重なって。 曙光を浴び 焼き爛れた催奇を 手に入れました。 |
まあまあな曲 | ||
1302 | 暗くて青い部屋の中、 形骸と化した証明。 異常と揶揄された趣向が、 澪を上り始めた。 無表情で泣いている、 霈に打たれた朧月。 普遍な概念が、 特殊を軽蔑していたので。 暗くて青い部屋の中、 オちた花 しがない命、 吐瀉物と明鏡止水、 少しだけ近づいた。 暗さが増した部屋の中、 帰納は正しさを持たず。 標準的普遍性は、 私を避けるのでしょう。 禁花を意味立てる、 表現不可能と知りながら。 絢爛の陰から、 殴打をする、 あなたの所為で! 暗くて青い部屋の中、 黴びた花 卑しい命、 溜飲と虚静恬淡、 全て思いの所為です。 かかり始めた、 希死念慮。 出口は無い。 息を止め祈り出すが、 蛇に見つかり、 交。 空。 暗くて青い部屋の中、 形而下の孤立無援で、 苦しんだ問への答え、 「それでもいいのでしょう。」 暗くて青い部屋の中、 少しだけ明るく見えた。 口ずさんだ無意味な呪文、 「全て▇▇の所為です。」 |
‾ ‾[extended] | ||
合作 | 1530 | 流れ着いた、 そこは昧く、 顔はやがて、 融けて行くだろう。 引き上げた、 錆びた魔法が、 語る物を、 魅せてきました。 病みの照らす方へ、 歩く、 歩く。 安らぎを求め、 嘆く、 嘆く。 泣き崩れた愚者は嫉む、 拠り所を求め、 渉る、 渉る。 欲望邪知者に操られて。 手指を削って、 悩み、 噎び、 寂をも真似る。 全て孤独の所為でした。 安らぎを求め、 嘆く、 嘆く。 泣き崩れた愚者は嫉む、 拠り所を求め、 渉る、 渉る。 欲望邪知者に操られて。 星空で数えてて、 月夜を凝らして見ていた。 |
⊣ | ||
1073 | 傘を濡らしていた、 感傷が開く、 腫れた胸の、 痛覚は増すばかりで! 俎上に載る無眼とベール、 苦肉を齧りながら、 朝に見たユリは廃となる、 月が欠けていくように。 飽きたから三拍子にするね。 悪寒は尚、 零墨を啜ります。 やっぱ戻すわ。 朽ちた腕は、 涅槃を遠ざけるので。 跳ねる兎もいずれ腐る、 苦肉を齧りながら、 俎上に載る無眼とベール、 全て思いの所為です。 |
由来 | ||
712 | 解を追うその標識と、 重くなり始めた腕が、 躄ることすらも儘ならず。 いずれは何もかもが落ちてゆく。 思考が宙を舞い溶けだして、 負荷に耐えきれなくなった。 腎臓に巣食うた禿鷲が、 首を千切り、抉り、飛翔をした。 何も分からないまま漂い、 初めて息を吸い、 吐き出し 笑う。 ふと気になり後ろを振り向くと、 誰かが死んでいた。 当然のように其処に佇む、 腥風を撒き散らす 死体の穴から、 自分のような名前が、 叫ばれ続けられ 霧と共に消えていく。 階も忘れた標識の、 敗衄 薫る指先が、 ただ煤ばみ溶けゆく様は、 あの既視感そのものなのでした。 視界がモノクロに染まり始め、 何も感じられなくなる。 星空の瞬きも忘れて、 足が焦げ、壊れて、崩れていた。 盲目の中 天啓を受け、 明晰な目的が 外部に宿る。 いつの間にか手斧を手に入れて、 投げ首を断っていた。 加速し終わりを待った頭蓋と 当然の如く彷徨う 胴体から、 蛆と醜さが湧き出て、 思考がゼロへと帰し 全て思うが儘に。 |