: 712
解を追うその標識と、 重くなり始めた腕が、 躄ることすらも儘ならず。 いずれは何もかもが落ちてゆく。 思考が宙を舞い溶けだして、 負荷に耐えきれなくなった。 腎臓に巣食うた禿鷲が、 首を千切り、抉り、飛翔をした。 何も分からないまま漂い、 初めて息を吸い、 吐き出し 笑う。 ふと気になり後ろを振り向くと、 誰かが死んでいた。 当然のように其処に佇む、 腥風を撒き散らす 死体の穴から、 自分のような名前が、 叫ばれ続けられ 霧と共に消えていく。 階も忘れた標識の、 敗衄 薫る指先が、 ただ煤ばみ溶けゆく様は、 あの既視感そのものなのでした。 視界がモノクロに染まり始め、 何も感じられなくなる。 星空の瞬きも忘れて、 足が焦げ、壊れて、崩れていた。 盲目の中 天啓を受け、 明晰な目的が 外部に宿る。 いつの間にか手斧を手に入れて、 投げ首を断っていた。 加速し終わりを待った頭蓋と 当然の如く彷徨う 胴体から、 蛆と醜さが湧き出て、 思考がゼロへと帰し 全て思うが儘に。