NEW国際クレイジー
近所の幽霊 | 15 | |
465 | 冬の夜の帰り道 一人で歩いてたら 足許の浮いた女の霊がこっちに飛んできた 逃げたけど 追い詰められて 命乞いをしてみたら 「腕手無いね♡」と言い遺して それは何処かへ消えた 面白くなって 探してみた 街灯も眠ってる この街を 途方に暮れて 家に帰ると トイレで寝ていました 雪の残る通学路 まだ日は上らなくて 薄暗い道の曲がり角 誰かとぶつかりました その人は貫通して 呟きつつ消えてった 「ぶつかるならパン咥えとけ」 はぁ?意味がわからないよ・・・ あれは お化け? それか 気の所為? 遅刻ギリギリの あの丁字路 誰かとぶつかって みたいかも・・・ ほら 授業は上の空 |
カワウがぼくらをにらんでるんだ | 190 | |
6010 | 浮雲泳いだ涸川の 底を歩いていたら 空を切り裂く嘴が 目の前に降りてきた 嗚呼 空の上からはらぺこな カワウがぼくらをにらんでるんだ 空気の中から打ち揚げられて 藻掻いて干からびてしまうんだね 刃先みたいに輝いた 嘴が此処まで降りてくるんだ 躰浮かんで雲に溶かされて 記憶は空の上風になる 花は散って 綿が舞い 月は映し 雲隠れ 雪は積り また融けて 待ち惚け 寂しく 日が暮れてく 青白く 夜風が吹く 訳もなく 満ち引きを ただ遺す そして眠る 家の窓から街を見れば ビルの灯の向こう 雲を通った嘴が 肢を垂らしてました 嗚呼 空の上からはらぺこな カワウがぼくらをにらんでるんだ 空気の中から打ち揚げられて 藻掻いて干からびてしまうんだね 刃先みたいに輝いた 嘴が此処まで降りてくるんだ 躰浮かんで雲に溶かされて 記憶は空の上 風になって消える 直ぐ上からはらぺこな カワウがぼくらをにらんでるんだ 空気の中から打ち揚げられて 藻掻いて干からびてしまうんだね 刃先みたいに輝いた 嘴が此処まで降りてくるんだ 躰浮かんで雲に溶かされて 記憶は空の上砕かれる 嗚呼 夜空に揺蕩いまた眠りに落ちる |
アンコウにてらされる | 47 | |
1387 | 潮漬けで錆びついた二等室 嗚呼 海から逃れた魚のプラザに光が洩れる チョウチンアンコウにてらされる 光の鎮まった海の底で サンゴ塗れな 魚たちの 寝床の中 嗚呼 暗がりにこだまする ローパスのかかった海のメロディ 扉の外された クモハの 骸の中 アンコウにてらされる 光の鎮まった海の底で サンゴ塗れな 魚たちの 寝床の中 嗚呼 暗がりにこだまする ローパスのかかった海のメロディ 扉の外された クモハの 骸の中 |
キツネ路 | 31 | |
818 | 寝過ごし着いた終点の バス停の立つ一本道 帰りのバスは終わっていて 歩いて戻ることにした 薄暗い道の翳から 一匹のキツネが飛び出した 触れてみようと追いかけて 足を滑らせた 頭を打って意識を失くし 夜が明けてから目が覚めた その場所で何をしてたか 思い出せなくなった なんで居るのかも忘れて 家に帰った 友達と乗る深夜バス(友達と会って) ふたり片寄せ居眠りして(遊んだ帰り) 目を覚まして見えた景色は(バスの中で眠ってしまい) この前通った道だった(終点で降ろされました) 静まった道の真ん中(帰るバスは無くて) キツネが一匹前を歩く(仕方なく山道を歩く) 触れてみたくて追いかけて(キツネを見つけた友人が) 尻尾を掴んだ(駆け寄ってく) 掴んだ指が離れなくなり(掴んだキツネに引っ張られて) 下り坂を引き摺られた(森の奥に連れてかれた) (その場所で何をしてたか) (思い出せなくなった) (なんで居るのかも忘れて) (家に帰った) (その場所で何をしてたか) (思い出せなくなった) (なんで居るのかも忘れて) (家に帰った) (その場所で何をしてたか) (思い出せなくなった) (なんで居るのかも忘れて) (家に帰った) (その場所で何をしてたか) (思い出せなくなった) (なんで居るのかも忘れて) (家に帰った) |
㋵ | 35 | |
916 | 晩夏の露店の角 何かが足に縋った 黄金の穂を揺らしてる ヤマネコだった 在り得ない獣道を それに続いて往くと 草木の間に トタン屋根が見えた そこは家々が並んで 扉は開いた侭で ネコたちが出てきて 寄ってくる けれど人の姿はなく 差し込む光の下 微かな涼しさが 身を包む 寒空の銀世界 侘しく立った街灯と 賑やかな足跡が 道を示してる 道標の謂う通り 一本道を往くと 草木を背中に 赤い屋根が見えた そこは灯だけが点き 道だけが示されて 忘れ去られている 過去の郷 鳥たちは後を濁さず 語ることなく解けて 花の蕾だけが 香るでしょう そこは灯だけが点き 道だけが示されて 忘れ去られている 過去の郷 迷うネコたちは集まり 差し込む光の下 静かな温もりで 暖を取っているの |