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晩夏の露店の角 何かが足に縋った 黄金の穂を揺らしてる ヤマネコだった 在り得ない獣道を それに続いて往くと 草木の間に トタン屋根が見えた そこは家々が並んで 扉は開いた侭で ネコたちが出てきて 寄ってくる けれど人の姿はなく 差し込む光の下 微かな涼しさが 身を包む 寒空の銀世界 侘しく立った街灯と 賑やかな足跡が 道を示してる 道標の謂う通り 一本道を往くと 草木を背中に 赤い屋根が見えた そこは灯だけが点き 道だけが示されて 忘れ去られている 過去の郷 鳥たちは後を濁さず 語ることなく解けて 花の蕾だけが 香るでしょう そこは灯だけが点き 道だけが示されて 忘れ去られている 過去の郷 迷うネコたちは集まり 差し込む光の下 静かな温もりで 暖を取っているの