全て鎖国の所為です。
㋴ | 24 | |
1211 | 建て付けられた格子の、 外を覗いてみて。 青い光が照り付け、 眩しく目が眩んで。 もたれ掛かり、 眠りに堕ち、 痛みに苛まれた。 観音開きの内側、 やおらに手をついたら。 勢いづいて、 戸が開いて、 外に放り出された。 乾いた寒色の閃光を、 徒に思い出し、 求め続け遂に朽ち果てて、 戻れなくなりました。 霧を浴び視界揺らぎ、 其処で意識が壊れ。 目を開ければ洞の中、 寒風が肌を撫で。 動こうとも、 できない儘、 百足と嗤っていた。 奇怪な音を鳴らして、 垂れる滴を畏れ。 のたうち回り、 外へ出たら、 全てを忘れ去った。 乾いた寒色の閃光を、 徒に思い出し、 求め続け遂に朽ち果てた、 全て鎖国の所為です。 まやかしにはもう気付き得ず、 排他的な快に縋って、 何も見えず、 忘れ去られ、 振出しを探すのでしょう。 乾いた寒色の閃光は、 二度と思い出せずに、 求め続け遂に朽ち果てた、 全て██の所為です。 照り付けてた閃光は、 もう見えないのか。 |
㋴㋴ | 11 | |
288 | 揺らいでいる光を追って、 迷走する羊の群れが、 夢見がちな瞼を下げて、 眼の裏に焼き付く。 夜を告げる静寂の中で、 三日月を映した川面が、 遠ざかる意識を見守り、 爛々と佇んだ。 流れ込んだ、 入江の先を、 泥岩が堰止めてた。 其処はどこか懐かしくて、 思い当らずに、 朧気に遺った記憶を、 徒に探るのです。 消えかける青い光に、 招かれるようで、 歩んでみるも思いがけず、 目が醒めてしまうのです。 逢魔時見えた瑞夢に、 泥む気持は隠せずとも、 時報の音が耳に絡まり、 迷宮へ誘われる。 鈍い脳裏の夢日記は、 儚く蕩けて消えていく、 後を濁す記憶の塵が、 蟠りを生み出す。 流れ込んだ、 入江の先で、 泥岩が砕けていた。 其処はどこか懐かしくて、 思い当らずに、 朧気に遺った記憶を、 徒に探るのです。 消えかける青い光に、 招かれるようで、 歩んでみるも思いがけず、 目が醒めてしまうのです。 銅色に 輝いた幻を、 掴めずに逃しました、 全て鎖国の所為です。 其処はどこか懐かしくて、 思い当らずに、 朧気に遺った記憶を、 徒に探るのです。 消えかける青い光に、 招かれるようで、 歩んでみるも思いがけず、 目が醒めてしまうのです。 銅色に 輝いた幻を、 独り籠る檻の中、 虚しく描いたのか。 |
海鵜 | 17 | |
493 | 浮雲が波間を漂ってる、 潮風に黒髪が靡いてる、 行先知れない海の向こう、 当てもなく見つめ続けている。 幼子の記憶に絡みついてる、 戯けてた仄甘い談笑が、 気づけば忙しい渡鳥になり、 思い出の片側を咥えて、 雲と戯れるように何処か羽ばたいてった。 言葉足りずに忘れ去れなくて、 いつの日にか舞い戻る気がして、 今日を照らす青空が朱く染まる迄、 唯、偏に、偏に、偏に、待ち望む。 浮雲は海の上を流れて、 潮騒の閑談を聴きながら、 名前も知らない街を見つけ、 雨となり地に馴染むのでしょう。 掴めずに揺れている惜別も、 心拍で掠れた備忘録も、 道路を見上げて広がる水面に、 棄てて仕舞えれば楽だろうに、 脳裏に散らかって未だに手放せずにいる。 言葉足りずに忘れ去れなくて、 いつの日にか舞い戻る気がした、 束の間の夕凪が静寂を運んで、 塩辛い潮が心を撫でおろした。 月夜烏が鳴いて流れ星が堕ちて、 見つめている先で照れくさそうに、 赤熱してる大空のほとぼり冷めても、 唯、侘しく、侘しく、侘しく、待ち侘びる。 待ち侘びてる、 焦がれてんだ。 |