全て行方の所為です。
▒ | ||
3832 | 照り返す西日を遮り、 蟠踞した記憶を結わく。 流れ流れて目を覚ませば、 咲き初める摩天楼。 凪ぐ風も、 応えは在らず、 出鱈目な幸を紡ぐ。 やがて、抜け落ちた後顧が、 淡い愁いを生すように、 身を焦がした蛍火と、 未だ寤寐に思服す。 精髄も、白い交差も、 走馬灯で掻き消した、 全て行方の所為です。 照り返す西日を遮り、 |
ルミエール | ||
3669 | 霞みゆく水面の下で、 燻っていた。 淵に沈んだ勝色が、 糸を断った。 思い出すことはありますか、 月影とか、 五月雨とか。 華奢な蕾が綻ぶのも、 あなたの為と知らぬ儘で。 靄のかかる言葉の裏で、 うつむいていた。 不意に見上げた天際に、 雲ひとひら。 消えて往くものとなるのですか、 月影とか、 五月雨とか、 華奢な蕾の儘 枯れる。 誰の所為なのかも知らないで。 嘆き続け、 紅い街の中、 形骸と成り果てる。 静かに揺らぐ灯を 見つめていた。 嘆き続け、 紅い街の中、 形骸と成り果てる。 静かに揺らぐ灯を 見つめていた。 |
問 | ||
3746 | 迷い続け ようやく辿り着いた 街の色は赤くて。 ひどく歪む私の視界が今、 誰かの背中を捉えた。 追えば追うほど、 遠くに霞んでゆく影は、 はじめからそこに無いのです。 鵺の声が夜に響く。 弾かれた雨粒が、 幾億の光を宿し煌めいた。 いくら訊けども答えの無い、 その問いは何ですか? 真実は何処ですか? |
░ | ||
875 | 古びた手帳を開き、 ページをめくって、 続きが破れていたので、 パタリと閉じて、 投げ棄てました。 罅の入った窓の外で、 現の夢と佇み、 たそがれ、霞んでいく街並みに、 留めているのでした。 床に散らばった紙は、 黒く浸みついていて、 薄気味悪く感じたので、 息をひそめて 逃げ出しました。 たそがれ、霞んでいく街並みで、 現の夢と佇み、 罅の入った窓の外は、 全て行方の所為です。 |
ٰٰٰٰٰٰٰٰ | 28 | |
592 | 波間に 揺蕩う 夢見鳥 月影には 思い出と化した 朧に ひとり 祈り 目を閉じて また身を任せる |
槿 | ||
1721 | 彷徨う何かが、 とうに来し方も忘れ、 儘ならぬ前肢で、 尚も小夜中を砕いている。 荒廃を繰り返すごとに、 静かに薄匂いが廻る。 忘れられない想いですらも いつかは冷めて往くの? 己が身を蝕む当為、 気づかぬうちに折り重なる。 忘れられない思い出すらも いつかは褪せて往くの? |
悠遠 | ||
2077 | あなたはあなただ、 行方は杳として知れず、 ひとり 踏み込んだ路地には、 灰が舞って揺れた。 あなたもあなただ、 未完の言葉携えて、 ふらり 身を委ねやがては 周期点で立ち尽くす。 続きの章の 予感を見過ごせば、 振り切った過去が、 また 爆ぜる。 朱色の街も、 仮初の灯も、 確かにあなたを 形象化して。 微睡の塔も、 此岸の声も、 いつかは沈められて忘れゆく。 |
(タイトル未定) | ||
合作 | 5313 | そして身を委ねた温もりは、 凍てつく針の筵に戻るのか、 内から穿つ杭の音が響けば、 堪えて 悶えて 意思も残せぬ儘。 蓋を開けただけでした。 不安定な言霊が身体求めて、 たちどころに依代を選んだ、 逃げ遅れた あなたを。 絡まって意味を失う明日、 やがて 淡く消えゆく ふるえるそら おちるひだりて 行く末は 未だ見えずに、 遠い日へと沈めた、 嘆く声 嘘 憐みの芽 また 仮初の死へ閉じ込められては、 降り積もれば 破綻する内面。 等閑に付した記憶を 歪めた。 全て行方の所為です。 ふと気が付いてしまわぬように、 外側の見えぬ 箱庭の底で、 目を伏せ、 口を綴じ、 耳を塞ぎ、 垂れ流しの蜜で生きながらえた 屹度叶わぬ願いでした。 変わらずにこのままでいられるのなら。 選んだ言の葉の 正しさの証明は 過去に溶けていた 鵺鳥の囀りと、 秤では吐かれぬ虚しさと。 うかぶみぎのて にじんだいんく 短い刃で傷つけて。 その岐路に佇んだ、 信号が朱く照らし出した、 色褪せぬその群青に、 かかる 靄すら、 愛おしく思えてしまうのでしょう。 解き放つ時を永遠に 夢見て 全て掟の所為です。 やっと届いた光もまた 影を生むだけで 実を結ぶことなく。 錆びたレールと対を成す、 避けては通れぬ茨の道の隅にて。 「異を好むのは罪ですか?」 ひとり自問自答を繰り返しては、 真綿で首を絞められたくはないからと 逃げ続けている。 |
ルミエール(bonus track) | ||
霞みゆく水面の下で、 燻っていた。 淵に沈んだ勝色が、 糸を断った。 思い出すことはありますか、 月影だとか、 五月雨だとか。 華奢な蕾が綻ぶのも、 あなたの為だと知らぬ儘で。 嘆き続け、 紅い街の中で、 形骸と成り果てる。 静かに揺らぐ灯を 見つめていた。 靄のかかる言葉の裏で、 うつむいていた。 不意に見上げた天際に、 雲ひとひら。 消えて往くものとなるのですか、 月影だとか、 五月雨だとか、 華奢な蕾の儘 枯れる。 誰の所為なのかも知らないで。 嘆き続け、 紅い街の中で、 形骸と成り果てる。 静かに揺らぐ灯を 見つめていた。 嘆き続け、 紅い街の中で、 形骸と成り果てる。 静かに揺らぐ灯を 見つめていた。 |
悠遠(bonus track) | ||
あなたはあなただ、 行方は杳として知れず、 ひとり 踏み込んだ路地には、 灰が舞って揺れた。 あなたもあなただ、 未完の言葉携えて、 ふらり 身を委ねやがては 周期点で立ち尽くす。 続きの章の 予感を見過ごせば、 振り切った過去が、 また 爆ぜる。 朱色の街も、 仮初の灯も、 確かにあなたを 形象化して。 微睡の塔も、 此岸の声も、 いつかは沈められて忘れゆく。 |