全て掟の所為です。
クリシェ | ||
2813 | 仰ぐ空を疾く薙ぐ海鳥が、 時の流れに攫われて嘆く。 路面から立ち昇る陽炎が 隠す街の中に 囚われた儘。 微かに残った灯火が、 消えることはなく、 黒く暗く続く道を往く、 戻れることなく、 純白の糸による繋がりを 確かめてゆくように、 終わりの鐘の音が響く。 証人はぽつぽつ語り継ぐ、 時の擦れに誰もが慣れてゆく。 水面から発つ蜉蝣は死せずに、 この終わらぬ輪へ 閉じ込められて。 仄かに香った花の色を 目に映す度、 赤く眩しく永き道に哭く、 日が沈む前に、 不可視の糸の繋がりを、 信じれば信じる程に、 終わりの鐘を打ち鳴らす。 割れた刳舟と流れて、 絶えず繰り返す言葉と、 抱く輝きの名残に、 今は只 雫堪えて。 割れた刳舟と流れて、 絶えず繰り返す言葉と、 抱く輝きの名残に、 今は只 雫堪えて。 |
(タイトル未定) | ||
合作 | 5313 | そして身を委ねた温もりは、 凍てつく針の筵に戻るのか、 内から穿つ杭の音が響けば、 堪えて 悶えて 意思も残せぬ儘。 蓋を開けただけでした。 不安定な言霊が身体求めて、 たちどころに依代を選んだ、 逃げ遅れた あなたを。 絡まって意味を失う明日、 やがて 淡く消えゆく ふるえるそら おちるひだりて 行く末は 未だ見えずに、 遠い日へと沈めた、 嘆く声 嘘 憐みの芽 また 仮初の死へ閉じ込められては、 降り積もれば 破綻する内面。 等閑に付した記憶を 歪めた。 全て行方の所為です。 ふと気が付いてしまわぬように、 外側の見えぬ 箱庭の底で、 目を伏せ、 口を綴じ、 耳を塞ぎ、 垂れ流しの蜜で生きながらえた 屹度叶わぬ願いでした。 変わらずにこのままでいられるのなら。 選んだ言の葉の 正しさの証明は 過去に溶けていた 鵺鳥の囀りと、 秤では吐かれぬ虚しさと。 うかぶみぎのて にじんだいんく 短い刃で傷つけて。 その岐路に佇んだ、 信号が朱く照らし出した、 色褪せぬその群青に、 かかる 靄すら、 愛おしく思えてしまうのでしょう。 解き放つ時を永遠に 夢見て 全て掟の所為です。 やっと届いた光もまた 影を生むだけで 実を結ぶことなく。 錆びたレールと対を成す、 避けては通れぬ茨の道の隅にて。 「異を好むのは罪ですか?」 ひとり自問自答を繰り返しては、 真綿で首を絞められたくはないからと 逃げ続けている。 |
〼[trash] | 32 | |
674 | 焦燥ゆえに誤ったのか、 その内を曝け出して。 引くに引けぬその右手は、 弾かれた露を浴びた。 宵へと沈んだ 静寂をなぞるだけで、 這い上がることも叶わず。 時は過ぎ去ってしまったので、 追い縋る術もなくて、 未だに独りで。 流されつつ眺めた。 迫る影に怯えながら。 内向きの矛が虚を突く。 過去に囚われた亡霊が、 摘み取った芽は戻らぬままで、 踏み潰されていた。 帰れもせず。 抗っても意味など無いのでしょう? 初めから気付いていた。 逆らうだけ損だと知っていた。 根を貼った惰性が縛り付けているので、 真似っ子がお得意な あなたたちを見つめていた。 間に合いますか? 仄かに感じていた 羨望の残り香はまだ。 摘み取った芽は戻らぬまま、 過去に囚われた理想と、 内向きの矛が虚を突く。 全て掟の所為です。 返したくて。 摘み取った芽は戻らぬまま、 過去に囚われた理想と、 内向きの矛が虚を突く。 全て█の所為です。 失ったものを数えることを 拒み続けていたのか。 |
ヿ | ||
辿り歩いた靴跡は、 やがて掠れて消えた。 人知れず滑り落ち弾かれた、 余り物に漏らした戯れ事と、 ノイズに混ざりこむ警告を、 無下にしてわらうのです。 消えぬガス灯が投射した、 翳に絵空事を重ねては、 混ざりだす絵具の境目で、 足踏みを続けました。 内側のみえない木馬から、 自動的に布石が打ち込まれ、 賢しく身をさらう東風の折、 冷めた炉に沈んでいた、 戻れなくて。 遡行の果てに個は廃れ、 統べる術さえ忘れ、 濡れた衣で手を温めつつ、 いずれ誠に換わる妄言が、 砂上に描きだす迷い児は、 網膜の海の底へ。 天頂に吊るした楼閣の、 滴り水を追う手は白く、 引き摺る脚を労わる口が、 夜凪を待ち続けていた。 賢しく身をさらう東風の折、 自動的に布石が打ち込まれ、 雨に艷めく回転木馬が、 全て掟の所為です。 戻せなくて。 幾度その袖を引き留めど、 快い音は滲み 霞み、 鈍く彼誰刻に響く。 指折り数ふだけの時を経て。 征く末を指し示す靴跡に、 自動的に布石が打ち込まれ、 <!>の回転木馬が、 全て▪の所為です。 病めず 止まぬ声は、 童の戯れに他ならず。 |