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焦燥ゆえに誤ったのか、 その内を曝け出して。 引くに引けぬその右手は、 弾かれた露を浴びた。 宵へと沈んだ 静寂をなぞるだけで、 這い上がることも叶わず。 時は過ぎ去ってしまったので、 追い縋る術もなくて、 未だに独りで。 流されつつ眺めた。 迫る影に怯えながら。 内向きの矛が虚を突く。 過去に囚われた亡霊が、 摘み取った芽は戻らぬままで、 踏み潰されていた。 帰れもせず。 抗っても意味など無いのでしょう? 初めから気付いていた。 逆らうだけ損だと知っていた。 根を貼った惰性が縛り付けているので、 真似っ子がお得意な あなたたちを見つめていた。 間に合いますか? 仄かに感じていた 羨望の残り香はまだ。 摘み取った芽は戻らぬまま、 過去に囚われた理想と、 内向きの矛が虚を突く。 全て掟の所為です。 返したくて。 摘み取った芽は戻らぬまま、 過去に囚われた理想と、 内向きの矛が虚を突く。 全て█の所為です。 失ったものを数えることを 拒み続けていたのか。