共通の澹懐。
電子的な朱色の安泰と解剖 | ||
545 | 達磨の期待が、 紙垂を破き割り、 峡を前に佇む仏にも縋る。 私の眼にはそれが見えずとも。 鳥居を背に佇む、 檻の三枚刃。 溶け出した甘い黒が、 迂愚を飲み込み、 幾何の朱い柱が、 坂道を成す。 故郷の香の香りを思い出したのに、 指先は動かなくなる。 消えても揺らぐ。 数多の光が細胞を語り、 推敲な安泰がそれをエヌか問う。 貴方の眼ではそれが見えずとも、 差し込まれた悪意が、 耳を腐すのです。 漏れ出した淡い黒が、 迂愚を飲み込み、 零列な朱い柱が、 坂道を成す。 郷愁に否定された快楽でさえも。 電極は動かなくなる。 肢体が揺らぐ。 侵し解かれた、 サンシの過剰。 歪むバイアス。 イサミの銅貨。 溶け出した甘い黒が迂愚を飲み込み、 幾何の朱い柱がそれを模る。 溶け出した赤い黒が、 迂愚を飲み込み、 幾何の朱い柱が、 坂道を成す。 故郷の香の香りを思い出したのに、 指先はそれでも動く。 視界が歪む。 鋭角が去れど。 |
タイトル | ||
485 | 襖の開いた角に、蕩けた割鏡 照らされた暗がりが、覗いていました。 木が蕩けている、流れ着いた いかだの木目に、なぞられる。 ふゆもうみへ おぼれそうで それが ここちよくて 寒い夜のまち ウミガメは 声を上げて あさやけと ゆうやけは 無く あおがつづいた。 眼を閉じても、眠れず 木の葉は腐り落ち、 どろりと襲われ、視界は不意にぼやけた。 草臥れたまちの中、 鯨は黄昏る。 視界の端に視える、 影を追ってみた。 すたれた じんじゃの とりい くぐる 眩いひかりに 諭される。 しものうみへ おぼれそうで それが ここちよくて 寒い夜のまち ウミガメは 声を上げて あさやけと ゆうやけは 無く あおがつづいた。 眼を閉じても、眠れず 木の葉は腐り落ち、 どろりと襲われ、視界は不意にぼやけた。 寒い夜のまち ウミガメは 声を上げて あさやけと ゆうやけは 無く あおがつづいた。 眼を閉じても、眠れず 木の葉は腐り落ち、 どろりと襲われ、視界は不意にぼやけた。 |
444 | ||
359 | 返して!出鱈目でも。 紛いの幽寂を。 私を閉じ込めた、夜明けの晩のチャイム。 その日は夕焼けより綺麗な緋が咲く。 夜薙いだ軽薄を、片手で握りしめた。 時化た赤、 期待するのだ、 暗雲低迷の史実に。 貴方らが拾ってきた知恵も偏見も潰えた時代も。 時化た赤、草と根食んだ、 失望落胆の忌日に。 飛び立った、己の愚かを無知を、 誰か私を罰して! 蝕んだ、溶けた幻覚に その疑似体験を 体に、胸に、焼き付けた。 無意識の為に。 夢を視た。 されど終わらない 幻肢痛の愁いを貴方となら繰り返すの。 知るな。閉じ込めろ。 過ちを仇で返し、 知恵も食す、認識のみ 生きるのでしょう。 願えど、 共通の澹懐。 遅効性の毒素は、 記憶を甦らせ、 無知は罪で在る為、 肥えさせてしまいました。 時化た赤、 期待するのだ、 暗雲低迷の史実に。 貴方らが拾ってきた知恵も偏見も潰えた時代も。 時化た赤、草と根食んだ、 失望落胆の忌日に。 飛び立った、己の愚かを無知を、 誰か私を殺して! 蝕んだ、溶けた幻覚に その疑似体験を 体に、胸に、焼き付けた。 無意識の為に。 夢を視た。 されど終わらない 幻肢痛の愁いを貴方となら繰り返すの。 知るな。閉じ込めろ。 どれくらいの時間が経ち、 無知蒙昧の杭で穿つ、 見たいだけの、快楽。 共通の澹懐。 意馬心猿の形に惑わされ、 孤独を患いました。 彫心鏤骨の妄想に、 離脱は絶たれた。 気付かないことを気付かせて、 信じたいモノを信じれば、やがて至るでしょう。 緋色の結末。 蝕んだ、溶けた幻覚に その疑似体験を 体に、胸に、焼き付けた。 無意識の為に。 夢を視た。 されど終わらない 幻肢痛の愁いを貴方となら繰り返すの。 知るな。閉じ込めろ。 夢を視た。 されど終わらない 幻肢痛の愁いを貴方だけと繰り返すの。 不条理と混ぜて。 破れて取り込まれていく、 蠢くは緋の現。 |