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全部皆の所為だ。

proto - 日盛り
全部皆の所為だ。 1818 見送られたその夜から、 また、櫓の灯は点る。 見れば眩しくて、 眼が白く染まった。 巡る四拍子を、 線香花火が指し示す。 霧が塞いだは、 幽かな帰り道。 薄灯を、 上書きした。 名も無い二等星に 不協和音が重なった。 猫股たちも酔い痴れた。 抑揚を殺していた。 鵺たちも捧げたこの唄に、 時が進む。 ほら、夜が明ける。 日が盛るまで、酔い痴れた。 からからと手の鳴る儘に。 仮初を眺む人の子は、 周、 愛されてた。 されど、雨は降らず。 青い視線が、交差する。 風が佒いだが、 白く、乾いていた。 ならば、絶えず絶えず、 祭囃子も薹が立つ。 黒く聞こえたが、 ひとつ、音を失った。 猫股たちは、知っていた。 故に、未だ歩いていた。 鵺たちに捧げる見送りは、 見えず、聞こえず。 ただ、日が沈む。 また、夜が揺れる。 日が盛るまで、酔い痴れた。 からからと手の鳴る儘に。 孤独を嫌った妖怪は、 揺られ、 霧に消えた。 花火は、 無味無臭で、 骨を蝕み尾を喰らう。 嘘を眺める人の子が、 亦、 踊っていた。 明け残るまで、うら泣いた。 ひゅうひゅうと音を立て、 うら泣いた。 可哀そうな妖怪さんは、 孤独と遊んでいた。 日が盛るまで、酔い痴れた。
日盛り 162
全部皆の所為だ。 3321 見送り ある遼遠の日、 また櫓の灯は点る。 袖を振ったなら、 終わりが始まった。 佒ぐ雨夜の月、 それは名誉か醜聞か。 見れば眩しくて、 目が白く染まった。 薄明かりを、 上書きした、 名も無い二等星は、 西へ西へと昃いた。 猫股たちも、酔い痴れた。 抑揚を殺していた。 鵺たちも捧げたこの唄に、 時が進む。 ほら、夜が明ける。 日が盛るまで酔い痴れた、 からから手の鳴る儘に。 夢見る棺を転がせば、 周、 愛されていた。 計る 鈴の音と、 軽い歩調は須らく。 明日の旅人は、 句点となるだろう。 されど、絶えず絶えず。 祭囃子も薹が立つ。 ひとつ、またひとつ、 あの日の音を失った。 猫股たちは知っていた。 故に、未だ歩いていた。 自らに捧げる見送りは、 見えず聞こえず。 ただ日が沈む。 また、夜が溶ける。 日が盛るまで酔い痴れた、 からからと手の鳴る儘に。 孤独を嫌った崇拝は、 揺られ、 霧に消えた。 花火は、 無味無臭で、 骨を蝕み尾を喰らう。 空空の永久は、 未だ、 踊っていた。 風が吹いた、 風は揺れた。 その袖を横に振れば、 ほら、最期が始まった。 日が盛るまで酔い痴れた、 からからと手の鳴る儘に。 これからの夜は誰知らず、 廻る。 嗚呼。 猫股たちは泣いていた、 サヨナラの合図が長鳴る。 夢見る棺を転がせば、 明日が 切り取られた。 見送りの無いお祭りの 全ては、待ち合わせの 正午まで。 空空の永久も、 揺られ、 霧に消えた。 見送り ある遼遠の日。
お手紙 92
全部皆の所為だ。 1187 どうか、このままで。 「何処か、遠く、離れた場所で、 二度、三度、出会える。」 曰く、一期一会と。 破綻した、愚望でした。 彼者誰時に語った 彼者誰時に騙った 記憶も、もう思い出せなくて。 散り行く吹雪が冷たくて。 誰が為に桜は咲くのでしょう? (誰が為に桜は散るのでしょう?) カラスが泣いたとき、 もう見えなくなった。 ならば日の出の色が 崩れる前に、 この幻想がまだ、 続くと知れたなら。 夏 青の鼓動を、 染められる前に、 別れを言わせて。

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2024-12-18(ver.1470)

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