全て遺言の所為です。
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4116 | 噓の身に、 求めゆ数は欠けて。 哀憫は、 感の余業と吾に倣えて。 海の巳に、 終う灯は止んで、 懇請は、 静寂の雫に偽る。 不死の没する過誤は、 尓の時を囲ふ辿を俟つ。 形有る物も、 濁世に去る者も、 一時の栄誉に酔い痴れてた、 全て遺言の所為です。 柿の瀬の、 理屈が聞こえるならば、 砕屑は、 破片の雨粒に打たれて。 差異の交わる筬は、 四鏡の簣を幾久俟つ。 形有る物も、 濁世に去る者も、 一時の栄誉に酔い痴れてた、 全て遺言の所為です。 水底と音の駅船所、 湿るモレンドを進む後、 十七の迷信に忌を過ごした程、 行方は消えず。 |
終末哉 | ||
2154 | 冬と水を葬て数える日々、 如何かされど小火に惹かれるのみ。 夏と彼を葬て数える時、 如何か来ても許してくれますか。 刹那に消え曰く故に従え、 夜は聞こえていますか? 全て遺言の所為です。 雨音と遒、 近づく足音、 影はあなたに溶けて、 見過ごしていますか。 夏と彼を葬て数える時、 如何か来ても許してくれますか。 刹那に消え曰く故に従え、 夜は明けることは無く、 全て遺言の所為です。 |
往生際 | ||
4371 | 添える花弁と、 虚の行方。 糸の街灯と、 現の痛覚。 硝子の向こうで 梅は嘆いたら フィルムに凍えた、 美しく非ず。 琥珀勿れ、 耳は聞えず仕舞いで、 枯らす水と、 世を妬む声。 誤解は威に、 皮は辱にと、 背に歪んだ、 言葉を深く。 硝子の向こうで 梅は嘆いたら フィルムに凍えた、 美しく非ず。 琥珀勿れ、 耳は聞えず仕舞いで、 枯らす水と、 世を妬む声。 誤解は威に、 (鍵に駆らずとも) 皮は辱にと、 (世に伐らず去れども) 背に歪んだ、 (彼誰時に) 言葉を深く。 (逃げ道は無く) |
入れ違い放辟邪侈 | 212 | |
4845 | 擬えた花の束に、 溶け落ちたのは諸行無常、 廃れる鏡の中に、 迎え入れるは雨音で。 明日を見るのは誰なの、 気づいてもただ出鱈目で、 煌めいたそく隠には、 宴が始まるだろう。 よろめいた外灯に、 すれ違う一夜。 恥じらいも為さず儘、 讃え貶せ謗れ瞬け! 鐘の音すら、 灰となった。 虚ろの耳に消えた影。 歪んだ音の背に、 沛雨と流れた涙。 遮った 言葉さえ、 利己的な生き方を読んだ、 間違えたその先に、 死を待つのでしょう。 全て遺言の所為です。 擬えた夕焼けに、 固執した過ち。 匙を投げても、 逃亡はできない侭。 見ず知らずのサイの目には、 誰を呼んでも意味がない。 水滴が落ちる眼に、 何を示していたのか。 逸楽の終末には、 呪いを通し、 彷徨った僻事は、 何時かの雷雨を繰り返す。 鐘の音すら、 灰となった。 虚ろの耳に消えた影。 歪んだ音の背に、 沛雨と流れた涙。 諦めた 後悔の中、 無を知る。 全てあなたの所為です。 眩しく揺らいでく、 雲切れが惑った、 少しずつ辿り着く、 色褪せた記憶へ。 鐘の音すら、 灰となった。 虚ろの耳に消えた影。 歪んだ音の背に、 沛雨と流れた涙。 失った 情景は、 最後の青を照らす。 命が尽きるまで、 解を十五としよう。 =全て遺言の所為です。 |