全て気の所為です。
祭壇 | 64 | |
1877 | 誰かの声、囁いた。 誰の声も、聴こえないのに。 篝火の光を受けて、 誘い込まれていた。 両腕に針を刺され、 冷水に漬けられて、 縛られて箱に詰められ、 暗闇へと礎になりました。 誰かの声、蔑んだ。 無くしたのは古い縁。 賽の目が示す先へと、 運び込まれていた。 両足に釘を刺され、 炎炎を向けられて、 炙られて千切れたままで、 暗闇への生贄になりました。 音色のない声がくぐもって、 掃き溜めに捨てられて、 終えることのできない祈りを、 求め続けているのか? |
☺︎ | 636 | |
8582 | 昇り、降り、 常世に來り、 あの雲と共に去ぬ、 進み、戻り、 虚ろいでいるのは、 きっとあなたの影でしょう。 闇雲に背中を押されて、 立ちくらんで、肌を切る。 滲むハンカチのモチーフは、 新に機務を与えるでしょう。 瞬きの間に控える、 あなたの蒼茫ら。 何一つ判らぬまま、 行き先委ねたその先に。 昇り、降り、 常世に來り、 あの雲と共に去ぬ、 進み、戻り、 虚ろいでいるのは、 きっとあなたの影でしょう。 瞬きの間に控える、 あなたの蒼茫ら。 何一つ判らぬまま、 行き先委ねたその先に。 知らず、識らず、 向けたライトが、 輝きと共に沈み、 刻む、五時半のスコールが、 夕暮に好く染まり… 霞んで消えた。 上り、 上り、 此の 世に 浸り、 あの 雲を 撫でて よ そ る。 快晴の 果、 消えないで いるのが、 きっとあなたの影でしょう。 |
影身 | 296 | |
6670 | 誰かの影の中で、 迷子が泣いていたの。 誰かがそこにいても、 気の所為と言うのでしょう。 気まぐれにその日は、 赤い空を見ていたから、 夕焼けを知らすチャイムが、 五時半を超えていた。 夕暮れの終わりが、 雨雲を繰り上げていく。 茜色の街は、 あなたと逃げていった。 空蝉の陰りが、 終日を塗り替えていく。 ずぶ濡れの僕らは、 公団の屋根の下。 誰かの影の中で、 迷子は生きていたの。 誰にも見えていなくて、 佇んでいたのです。 泳いでるその目を、 求め続けていたから、 白線と危険テープを、 飛び越えていたのです。 夕暮れの終わりが、 雨雲を繰り上げていく。 茜色の街は、 あなたと逃げていった。 空蝉の陰りが、 終日を塗り替えていく。 ずぶ濡れの僕らは、 公団の屋根の下。 |
☺︎☺︎ | 124 | |
3423 | 私は期待の所為で、 手を伸ばした。 遥か彼方、 望む方舟。 私は期待の所為で、 昼夜を舞う。 何も彼もが空となり、 捨ててしまった。 徒然になぞり、 ふうらふうらと、 透明な月影に隠れるのです。 私は機体の中で、 真意を見た。 使徒が降りた、 沈む方舟。 体は遍く未知の、 脅威により、 罪と善悪と共に、 消えてしまった。 光の帳の中で、 目を閉ざして、 息を吐いて、 道を辿った。 十六夜の為の円舞曲、 宇宙へ飛んだ。 蜘蛛の糸を掴めずに、 墜ちてしまった。 私は期待の果てに、 章を終えた。 運が尽きた。 意地が潰いえた。 十五夜に乗せた船は、 舵を持たず、 海を漕いだこともなく、 座礁していた。 玉響に生きる、 似非旅人。 彗星の軌道等に浮かぶのです。 光の帳の中で、 目を閉ざして、 息を吐いて、 道を辿った。 十六夜の為の円舞曲、 宇宙へ飛んだ。 蜘蛛の糸を掴めずに、 墜ちてしまう運命か? 誓盟が途絶えた跡も、 千切れた声も、 全て気の所為です。 |