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誰かの影の中で、 迷子が泣いていたの。 誰かがそこにいても、 気の所為と言うのでしょう。 気まぐれにその日は、 赤い空を見ていたから、 夕焼けを知らすチャイムが、 五時半を超えていた。 夕暮れの終わりが、 雨雲を繰り上げていく。 茜色の街は、 あなたと逃げていった。 空蝉の陰りが、 終日を塗り替えていく。 ずぶ濡れの僕らは、 公団の屋根の下。 誰かの影の中で、 迷子は生きていたの。 誰にも見えていなくて、 佇んでいたのです。 泳いでるその目を、 求め続けていたから、 白線と危険テープを、 飛び越えていたのです。 夕暮れの終わりが、 雨雲を繰り上げていく。 茜色の街は、 あなたと逃げていった。 空蝉の陰りが、 終日を塗り替えていく。 ずぶ濡れの僕らは、 公団の屋根の下。