もう戻れないのです。
零落の奏歌 | ||
2175 | 苦悩の日々、 感嘆の詩符。 夜雨に堕ちる 傀儡の戀。 雄姿違えた酔いの普遍に、 殺しを願うのです。 月夜は只あの日を想った。 霖の森、神気の符号、 揺らめく紙の音は、 罪火の花を只、擁すのでした。 夢は旅路の意味を知って、 酩酊の歌を神に訊いた。 宵の枷に堕ちるこの声は、 もう戻れないのです。 燻る所以の緋も、 雨月の世に燃えてゆく。 数多の緋は虧月に堕ちる。 全て、 全て虧月の所為です。 月巡レ、葦ヲ噛ム鏡。 無謀な事象の音に、諭される。 啀み合う価値に表されては、 遺言を残せぬと。 夜桜ニ見エヌ瑕疵ヲ模シタ、 妖ニ見ユル鴉ノ声、 正気を保てぬ儘に滲んで、 死の境を彷徨う。 朙妖の■の声、/常世の終止符の上で、 届かないで、 消えてしまう刻の上。/見えなくなるまで叫ぶのだ。 許しを乞うだけのこの声は、/夢をただ見ていたいと願えば、 もう戻れないのです。/忘れてしまうのだろう? 燃える虧月の緋も、/無くすあの日の事も、 雨傘の中で消えてく。/五月雨の雨にただ濡れてる。 記憶の中もう戻らない。/記憶の中もう戻らない。 全て月夜の所為です。 永転して、 永命して、 嚥下して、 迷帰する。 記憶して、 殺されて、 意味を失うのでしょうか? 奇怪事、 世迷言、 揺らぐ事、 消えてなくなるのは、 あなたを見てる悲願の言葉。 夢は旅路の意味を知って、 酩酊の歌を神に訊いた。 宵の枷に堕ちるこの声は、 もう戻れないのです。 燻る所以の緋も、 雨月の世に燃えてゆく。 数多の緋は虧月に堕ちる。 全て虧月の所為です。 贖罪を描く曲線が、/忘却される記憶の端が、 夢をまた見据えた摩天楼。/騒然とする紙が擦れて、 改悛の名誉に酔い痴れて、/私はもう戻れやしないから、 虧月をまた壊した。/攫う時の表。 現世の鏡よ、/明滅の解剖は、 只管に裂く形骸の正。/私の声を届けてよ! 消えてしまうと歌うのなら死ぬのでしょう。/消えてしまう緋の現しに、 死する。 もう戻れないのです。 |
朙妖の鴉 | ||
1524 | 月は赤く染まった。 意味をもてぬ儘に鳴いてさ。 在らぬ誤解を招いて、 壊れゆく此の世の哀憐に。 夜が開けるまで、狂いましょう。 誰かに押し付け合って、 貴方の碑はとうに廃れる。 死に急ぐこと勿れ。 奏歌の音は、 世に響き壊れてく。 灯りも消えて、目が眩み出す。 壊れてく日々は浅ましく叫ぶのだ、 君の所為だと言い、 ただ戻らぬ声を聞きました。 許せば良かったでしょう。 あの日のこと、もう泣いてくれない。 赤く染められたこの街で、 終わりを見届けましょう。 街は崩れていって、 数多の叫びが聞こえていた。 死を願うあの日の声、 忘れてしまえばいいのですか? 変わりやしない、 決まったことも、もう戻れやしないこと! 悲しみに暮れる時間もない、 貴方を怨みました。 遣らずの雨の中、 最後とは知らぬ儘、 涙も出ずにただ怖がって、 此の世が終わるのをただ見てるのですか? 苦しみ悶えては、 哀れと嘆く月夜に沈む。 願えば許されるか? あの日のこと、罪は流れ落ちてく、 最後に聞こえるこの言葉、 「全てあなたの所為です。」 願うのは、僥倖なのか、あなたの所為なのか? 青い月夜に照らされ、殺されるのでしょうか? 消えてく、この記憶は、 戻せなくて、涙を流しました。 期した懺悔に身を呈した。 もう戻れないのです。 貴方と描いたもの、 探したもの、もう消えてなくなった。 数多の声はとうに消えた。 全てあなたの所為です。 全て月夜の所為です。 |
慨嘆の涙 | ||
542 | 目に見えぬ愚者の戯言、 私には届きやしません。 揶揄する意味を持たぬものは、 死して罪を償うのだ。 あなたが見たあの日の事は、 もう二度と戻らないと謳われた。 虧月と月夜は混ざり、 街は赤く染まった。 帰する言の葉、 消えた記憶の中でさ、 泣いて、泣いて、また泣いて、 消えることに身を任す。 繰り返される意味持たぬモノ、 期した懺悔の音に身を呈す。 あなたの所為だとただ歌うのならば、 死に至るでしょう。 もう戻れないのです。 影はもう見てはくれない、 私を許してはくれない。 消えゆく 悲しみの錘に、 死すら意味を持たぬ儘で、 苦しみ 只藻掻き続けた、 あの日をまた忘れてしまう様に。 奇怪な音を鳴らして、 死を待つだけなのです。 繰り返される意味持たぬモノ、 期した懺悔の音に身を呈す。 赤く染められた記憶の奥底で、 あなたを待った。 もう戻れないのです。 |
罪火の錘 | ||
1748 | 可視化された罪の錘は、 私にはもう届きません。 明滅の天違いに、死ゆる。 意味も為す術在らず儘。 死に急ぐのも、過去の誤ち。 青く染まった街の中で、 失うものは大きく、 聞こえぬ声に耳傾けた。 陽は私を映し出して、 皆の前でまた嘲笑う。 泣いてた僕を見てた君らは、 記憶を失うのです。 継ぎ接ぎだらけの青い月、 期する懺悔にただ身を呈す? 貴方の記憶の奥底でさ、 只管に意味を訊いた。 「なぜ私は全て忘れたの?」 この意味とかは、 まだ知れやしないのか。 |