すずぬい
# _ | 211 | |
5263 | 肌を照らす明かり、 内包的四畳半、 万事、予定説に基づく、 見えざる檻が。 やをらに手を引くあの人と、 歩み、重ねた、遙か宵の月、 いつか謹白に許しを乞う、 全て鈴音の所為で。 一人、二人と消え、 去れば惜しむ形見と、 未だ反芻する惨めで、 哀れな言葉。 長く時を経た無憂樹で、 膝を抱えて泣いた宵の月、 そして「どうして?」とつぶやくでしょう、 全て鈴音の所為で。 |
凪街 | 816 | |
28884 | さる街 冷える肌を 抱いて 響く 鈴の音 見上げる 曇る ハリボテの 行き着いた 果て ある壁 明けた空を 望む 一握の幸 見下げた先に 蠢く 何かを 見つけた せき止めた 意図のない 感情も 張り詰めた 糸を切る 静寂も やがては溢れてく 潮汐の言伝 明星、また不快の協奏 巡る輪廻すら食む 愚かな思い消せど 消えぬ 全て鈴音の所為で。 経つ日々 羽を望み 籠もる 蛹の群れよ 諦念を覚え それとなく 隠した言葉 苦しみも 痛みも 後悔も 惨めさも 無力さも 儚さも やがては潰えてく 流れた月日を なぞるように、 その 盈虚を告げた 影は ひどく恐ろしく 連なる人を捕らえ ■■■ 鈴音と見紛うのです。 |
行き着いたのは廃れて久しい | 4490 | |
265682 | いろの せかいに なげだされ ここちよい かぜ はだを なでる きょぞうの つばさ ひろげて ちに おちました また 「だせよ」と せめる たびを うながす いいしれぬような しょうどうは くゆる ほのかな とうとい じがを むじひに けすんだ こうぼう うすび きらり こもれび ここは かみよも きかぬ まほろば くらい もりに ひとすじの ひかりが さす さんびに むせぶ しずく みなも ゆらり みずうみ のぞきこむ わたしの めは どこに? 「ないで かがみ へきぎょくの そのに たてる」 わたしの れいく どんぐり ころころ ぼくの ごはん こんやの ねどこは とりの ふるす あすも はれと ねがって めを とじました また さかを ころげる からすが ねらう いいしれぬような おぞましさ さぁ、かくれんぼ やだ、みつかった あかく くろく そめた こうぼう うすび きらり こもれび ここは かみよも きかぬ まほろば くらい もりに ひとすじの ひかりが さす さんびに むせぶ しずく みなも ゆらり みずうみ のぞきこむ わたしの めは どこに? 「ないで かがみ へきぎょくの そのに たてる」 わたしの れいく こうぼう うすび きらり こもれび ここは かみよも きかぬ まほろば くらい もりに ひとすじの ひかりが さす さんびに むせぶ しずく みなも ゆらり みずうみ のぞきこむ わたしの めは どこに? 「ないで かがみ へきぎょくの そのに たてる」 わたしの れいく (かため おさえ たびを つづける) (そして やがて いきついた さきは) (すたれ ひさし) (みたことない ずいどうで) (かえるが ないた) |
さかながおよいだそうてんは | 2944 | |
184117 | うねる まちの きょぎと なびく はな あずまむき よどむ いけの そこを あらした ようで にわかに さく はなにしき ちひょうを おおう なにかに おわれながら むれを なすは いわしぐも あわく ほどけ あおく ひきさかれた そまる いつわりの その さかなが およいだ そうてんは ながく おを ひく よきょう、のち ただ しじまと なりさがる くさきが めを あけ じがを しる ちを はっては なかまを さがしてる 「キミが わるいんだ」ひとびとは ひを つけては だんを とる くゆる きぎの はいと もゆる はな にしを むく わらい それを かてに いろめく ので みそぎの ような あめが ふり つみを ながし ついでに まちも ながし みを そぐ ような かぜが ふく めを ひらけば そこには むれを なした ひとみ きょむを うつす さかなが およいだ そうてんは すずを ぬう いまわの おとずれ まだ どばとが とんでいる あしたの ことは しらない けど あかごが ないてる こえが する ビルの おくじょうの ひとの かげ かたちを かえる ひょうしき ひとみ きょむを うつす さかなが およいだ そうてんは すずを ぬう いまわの おとずれ まだ どばとが とんでいる あしたの ことは しらない けど あかごが ないてる こえが する ビルの おくじょうの ひとの かげ かたちを かえる ひょうしき |
地下に埋まる橋架とあおでんわ | 1040 | |
46746 | 地下に沈んだ 公衆電話 断続的に光る 灯り 不本意な終幕に 嫌悪を抱えた過去と 滾滾と流れる水と 奄奄と渡る反り太鼓橋 かの素晴らしき世界が 変わらない 全てあなたの所為だ。 おとぎ話 七里の林 人が消えた 神隠し ざわめく葉々の音 吹き抜ける風 異界の境 昏々と そして 延々と 囁く 止まれの標識 痛む 片目を押さえ 口ずさむ 懺悔の歌 軋む 腐れた木々の橋で 送る電波に 価値と変数を 細き道が 瞳を照らす 地下に埋まる橋架とあおでんわ 遥か たどり着く洞穴の 満ちる光を 進みかきわけて 嫌な過去を いいやと叫ぶ 歪む時を 旅する 蛍火よ 淡々と そして 閑散と 変わらぬ 静寂の暗闇 ひとり 歩いた靴の 音が響く 岩小径 軋む 腐れた木々の橋で 送る電波に 価値と変数を 細き道が 瞳を照らす 地下に埋まる橋架とあおでんわ 遥か たどり着く洞穴の 満ちる光を 進みかきわけて 右の腕に刻んだ正に 鈴を縫い 弱まる蛍の火 いつもと変わらぬ 空の下 最後に見る景色は 赤ガラス いつか やがて いいやと終わる 歪む時を 旅する 蛍火よ 地下に沈んだ 公衆電話 断続的に光る 灯り 不本意な終幕に 嫌悪を抱えた過去と 滾滾と流れる水と 奄奄と渡る反り太鼓橋 かの素晴らしき世界が 変わらない そしてあまたの正だ。 |
A respectable world | 2011 | |
83709 | まだ続く 箱庭の中 諦めと 一縷の望みと 両手で覆い 固くフタする 零下 巡る星の夜 荒れ地を歩む 足取り軽く 安らぎと しばしの終わりを 深くいきつき 視界まどろむ 雨が まだ耳朶を打つ ゆらり ゆらりと漂い しがない 私と成り果てる 甘美に委ね あしを滑らせ 落ちる、落ちて 溶けていく 響く ウタ沫 かきつばた もがく 意思もなく 鈴を縫う 降ちの新鷹 雫 伝いました 騙る 心に目を向けず 肺を 膨らませ 後ろ 振り見て砕け散る 薄暮 藍になって 雨だれ過ぎる 見慣れた場所の せせらぎと 一途の思いを 野原に出でて ハナをくすぐる 腐り 廃れた何か はらり はらりと葉は落ち 知らない 景色と成り果てる そこに寝転び 悪魔が襲う 沈む、沈み 溺れてく 響く ウタ沫 かきつばた もがく 意思もなく 鈴を縫う 降ちの新鷹 雫 伝いました 騙る 心に目を向けず 肺を 膨らませ 後ろ 振り見て砕け散る 薄暮 藍になって 浮かぶ 静寂の生き様を 夢見た 私は 清く ただ 睡蓮木の 枯れるを 眺めながら すさび 古びた箱庭の 続きを 求めて あしを 踏み入れ繰り返す 愚者が ひとり眠る |
根無し花 | 1009 | |
33953 | ぼやけた路地裏の 地べたに咲く 名の無い きれいな花 香りに誘われて 出づる 鳴る 腹の虫 靴の音が 虚しく響く 凪ぐ街を 揺蕩う 蒼い空 孤独な旅 志学の徒 描く未来に 救済を 見逃した過去には 制裁を 揺らぐ その奥歯を 噛みしめた 花は 末路を 知るのでした 隙間より覗いたそれは 変わらない、でも確実に 消えたかつての面影は温かく優しいものでした。 「・・・・・・本を読むならいいかもね」 息を呑む、紫、根無し花 微睡みから覚めず 彷徨い行く 手に引きずられ 起きる 夢ならば良かったと 思い 頭を 振った 細い体を かき抱いた 記憶から 消していた 朱い街 サビた匂い ■■■虫たちの 晩餐を 隙間より覗いたそれは 変わらない でも確実に 消えた かつての面影は 温かく優しいものでした 違えた 言葉の諍いと 欠けた あの日の日常と 救い無き 蝶々の羽に やがて 崩れ落ちた 根無し花 お日様も 眠りについて 下がり来る 闇夜の帳 抜けた 奥歯の血を 舐めた いつまでも 止まぬ 痛みの波 枯れたウタ いちめんのはね 戻り来る 冷える路地裏 擦り切れた 膝を抱えた すずをぬう 萎れた 根無し花 |
中間報告書2 | 217 | |
4527 | 電波を飛ばす ありふれた厭戦的天使 嗚呼 窓は割れるし あの子も消えるし 外は散らかる様で(笑) やめませんか? 静寂が ・・・ダメみたい 身を包む 明日もおうちにいよう |
葦あるいはエピローグ | 1439 | |
69318 | もの思いに うわの空 ちりりと痛む この心に 天から送る 要らぬ世話 二筋の 流れ星 まぶたの裏に 映る影は(もの思いに うわの空) いつでも あなたが 笑む姿(ちりりと痛む この心に) 始まる 劫火の潮騒、晦の極(天から送る 要らぬ世話) (二筋の 流れ星) 山吹の輪立ち(明けぬ 朧日夜 捨て子花) 所狭し 待雪の草が 生う(玲瓏 還元の極光が) 堕ちた天つ日が 月を蝕み(寄る辺も 宿世も 貫いて) 月明かり 白々と 伸びる(君の骨 透かすまで) 明けぬ 朧日夜 捨て子花(山吹の輪立ち) 玲瓏 還元の極光が(所狭し 待雪の草が 生う) 寄る辺も 宿世も 貫いて(堕ちた天つ日が 月を蝕み) 君の骨 透かすまで(月明かり 白々と 伸びる) 落ちてくるよ 上の空 逃げ場はないと囁いてる にこにこ嗤う 白日に 慟哭は 届かない 私の元を 去るあなたは(落ちてくるよ 上の空) 遠くの木陰で 見上げてる(逃げ場はないと囁いてる) 塩垂る、無月の潮騒 邯鄲の夢(にこにこ嗤う 白日に) (慟哭は 届かない) 流る 音の波(止まぬ 落ち星よ 玉の緒よ) 振り向けば 朔日の三瀬川(長くいきすぎた 露は絶え) 鈴を縫う 原初の罪 滅ぶ(さようなら 今生の別れと) 人身に移る 絶望の神話(瞳に映る 切望) 止まぬ 落ち星よ 玉の緒よ(流る 音の波) 長くいきすぎた 露は絶え(振り向けば 朔日の三瀬川) さようなら 今生の別れと(鈴を縫う 原初の罪 滅ぶ) 瞳に映る 切望(人身に移る 絶望の神話) ありふれた言葉を紡ぎ 育むは 空虚で中身ない葦じゃないですか? たどたどしい口調も 減る口数も 全て愛しいから 手をつなごう 話してよ 終わる世界に 最後の一幕が 光降りて 閉じてくまで 「話してよ!」 「…離してよ」 |
ことりがそらへとおちてゆく | 2230 | |
104249 | かこのつみ はこのすみ おやどりが あとを にごした けむりが まう ひびわれる まわりに ひろがる ふじょうりが ひげきが えがく じょうちょの ように あまをうつす すずいろ みなも ことりが そらへと おちてゆく そうごんたる こぬかあめ はずれた ねじは もどらぬ ように ときは ゆがみ あさやけを みゆ ゆらりと ぼやけた きょうかいに ひろがる みずしぶき はな は かれる とり は とびたつ つき は おちゆく つゆ は はかなく きゆ のぼるあめ あかむつき ひなどりは うみへと かえる しろむ といき ささめゆき せかいが みまもる ねむりよ ひげきが えがく じょうちょの ように(なみだを ながす いけにえを ひき) あまをうつす すずいろ みなも(そらをあおぐ すずを ぬうもの) ことりが そらへと おちてゆく(かのじょは かわへと おちてゆく) そうごんたる こぬかあめ(たむけた ゆりのはな) はずれた ねじは もどらぬ ように(かせんを こわし くるうてんじつ) ときは ゆがみ あさやけを みゆ(くちをへらす じんしんきょうぎ) ゆらりと ぼやけた きょうかいに(むらびとは いのり しゅくさいを) ひろがる みずしぶき(はしには ひとのかげ) ひげきが えがく じょうちょの ように(なみだを ながす いけにえを ひき) あまをうつす すずいろ みなも(そらをあおぐ すずを ぬうもの) ことりが そらへと おちてゆく(かのじょは かわへと おちてゆく) そうごんたる こぬかあめ(たむけた ゆりのはな) はずれた ねじは もどらぬ ように(かせん(kasen)を こわし くるうてんじつ) ときは ゆがみ あさやけを みゆ(くちをへらす じんしんきょうぎ) ゆらりと ぼやけた きょうかいに(むらびとは いのり しゅくさいを) ひろがる みずしぶき(橋には 人の影) |
中間報告書 | 278 | |
4681 | 見かねた 正気の庭 崩れた 狂気の園 望みが 潰えた 鈴を縫う 木漏れ日 「話して!」 君は言う 「...離して」 私は 空を仰いで 目そらした 扉を 閉じた 誰にも言えぬ 部屋 |
つちへとしずむカゲロウ | 1547 | |
80424 | どこかのとおく みかいのち いとなみきずくほしの あおじゃしん だれかが みずをこぼしました ようきさめやらぬ なつのくれ きえてひさしいひとの かげぼうし ひかりが からだをすりぬけて とらえきれずいるので おそらに てをのばそうとして まぶたを やくひ こうかした とびらをたたく ひばかりは なにか つたえようとさけんでる しずむ あざやかなかんしょうと はなであしらった かみかざり かぜはなく はくといきで いちまいえ にじむ さざなみ それは ふかぎゃくのぶんきてん しらぬうちに ふくろこうじにいる せいぶつがくてきな けいろいぞん もう もどれない カゲロウ いままでか これからか じかんじくのずれてる うらせかい みなもにうつる あまた ぼうごふく かさをさす こどもたち りょうのてが ふるえちゃって はしを ぽとり おとしたよ おとなたちは めをさまさず 「あと5分」といって ひがくれる しずむ あざやかなかんしょうと はなであしらった かみかざり かぜはなく はくといきで いちまいえ にじむ さざなみ それは ふかぎゃくのぶんきてん しらぬうちに ふくろこうじにいる せいぶつがくてきな けいろいぞん ゆらり うごめく かげろう うすぐらく よどむあかり ラジオがしめす てんきよほう あかみゆくへやに たちこんだ うわさをかたる ひと ようきさめやらぬ なつのくれ でんわを かたてにまいおりた すずをぬう ながれぼし かわく のどもとにせきこんで かれきにみずやれ さびじょうろ しもやけのように あかい てをこする ちぢむ ろうそく それは ふかぎゃくのぶんきてん しらぬうちに ふくろこうじにいる せいぶつがくてきな けいろいぞん もう もどれない でもね ねぇ、あおばなとながれもの やけに きりがかるゆめをみる みずをまく あるく あまたぼうごふく こくしょくの かさ それは ふかぎゃくのぶんきてん しらぬうちに ふくろこうじにいた じょうてんのうみ ざんしょうのなか つちへとしずむカゲロウ |
中間報告書3 | 187 | |
2824 | やがて また見られると 独り言、七回目 待ち侘びる 色彩に 思い寄せ、浮かんでる 響く音、目を向ける あるじ また疲れてる 外はどう? 暖かいかな? 空は、今オレンジね 憂いの横顔 砕けた建物 蝶々の羽音と オレンジ夕日の光 また見られると 独り言、八回目 単色の 灯り 浴びて 足立たず 浮かんでる |
ほたる | 478 | |
5383 | うだる 熱を残す 薄暗い 街の中 意味を持たぬ 歌を口ずさみ 言の葉 紡ぐ 時が 迫るもので 霧がかる 夢を見る 病止まぬ 咳にむせ返り 袖に しおたる 割れ鏡の 世界 囚われて 天を待つ 空を泳ぐ 魚が ぼくたちを 嗚呼、見つめてる 比喩を持たぬ モノに あえて 名前を付けた 淡く 光る やがて 「 」 告げたり しほたる |