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夢を見ているのでしょうか、 あなたを彩る夏の中、 あの日は茹だる様な暑さで、 ただ見えぬ熱を感じていた。 入道雲が見下ろした、 焼け付くアスファルトの上、 楽しげに笑っている、 その顔が、 眩しくて。 まるで、 祭囃子の様な音が、 「おかえり」と、 こちら手を振る様で。 帰り道に ヒグラシが鳴いた。 すぐに、 すぐに、 会いに戻ります。 夏の空に見惚れていて、 涼し気な音に耳澄まし、 懐かしいと感じる景色を、 忘れる事は無いのでしょう。 ふうりんのねを ききながら さびしげなめで ほほえんだ どこにもいない わたしへ あなたは てをあわせる まるで、 祭囃子の様な音が、 「いつかまた。」 こちら手を振る様で。 帰り道に ヒグラシが鳴いた。 遠く、 遠く、 故郷を求め。 さようならの言葉は、 二度と伝わりはせず、 静かに消えていく、 記憶にわたしを、 おいていかないで。 まるで、 祭囃子の様な音が、 「おかえり」と、 こちら手を振る様で。 帰り道に ヒグラシが鳴いた。 すぐに、 すぐに、 会いに戻ります。 まるで、 祭囃子の様な音が、 「いつかまた。」 こちら手を振る様で。 帰り道に ヒグラシが鳴いた。 遠く、 遠く、 故郷を求め。 遠く、 遠く、 在るべき所へ。 夢を見ているのでしょうか、 あなたを彩る夏の中。