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ある晴れた夏の日のこと、 向日葵が眩しく、 涼しげな風と、 晴れの温度が、 二人を染め上げてた。 今見える青空の下、 あなたの横顔は、 飴色に染まり、 目を傾けて、 静かに笑ってみせた。 「今日はどこ行こう」なんて言って、 いつも通り笑い合って、 日常を送ってた影に潜む、 悪戯な運命。 歩き出すあなたの後ろに、 続けて行こうとした時、 右から来る音、 直ぐ飛び出して、 もう余りに遅くて。 音のない一瞬、 その一瞬、 泡沫の様で。 呼びかける一瞬、 その一瞬、 信じたくなくて。 笑顔咲く一瞬、 その一瞬、 ひどく美しく。 鮮やかな一瞬、 その一瞬、 許されるのなら、 もう一度。 あの晴れた夏の日のこと、 今でも思い出す。 写真を眺めて、 想いだしていた、 あなたと生きた日々を。 今見える青空はただ、 青いだけの空で、 輝きはなくて、 どこか空虚に、 私を照らすのです。 「楽しかったな」なんて言って、 後から噛み締めてたって、 あなたの姿なんて視えないの。 分かっているでしょう? 歩き出す私の後ろに、 ついてくれたあなたが今、 この場所に居たら、 そう願えども、 もう余りに遅くて。 分かたれた一瞬、 その一瞬、 理由などなくて。 見つめ合う一瞬、 その一瞬、 涙がこぼれて。 目を閉じた一瞬、 その一瞬、 終わりを感じて。 思い出す一瞬、 その一瞬、 願えるのならば、 戻らせて。