: 647
: 43
割り切れることのない、 分岐点の上にいて、 深い海から仰ぐ月は、 青白いだけの粒。 厘まった面差しで、 毛繕い続けている。 六連星まで伸びた花は、 甘い蜜惑わせる。 糸遊の立った小道に名残惜しく佇んで。 まだ笑いあっていたいのは、 きっと同じなんでしょう? 忽ち巡っていたのは、 見えた微笑むその一瞬、 歩き出そうとして、 手を引かれ、 「またね」と、 言葉にできずに。 色のない逡巡は、 この逡巡は、 思いを歪めて。 溢れ出す逡巡は、 この逡巡は、 今までに無くて。 茜さす逡巡は、 この逡巡は、 夢見てるようで。 暖かな逡巡は、 この逡巡は、 受け止められない。 さよならを。 繊弱な自分はもう、 沙げられてしまって、 笹の葉に飾ったお祈りを、 思い出せずにいます。 塵積もる世の中で、 挨かれた扉のこと、 橘の葉に飾りつけて、 追憶を祈るのです。 渺か彼方見上げ果てしない空に臨む。 いつか啄んだ笑い顔、 待ちわびているんでしょう? 漠になっていったのは、 曖昧模糊なままの逡巡。 夢路から戻って、 会いたくて、 訪ねて、 同じ景色見て。 切のない逡巡が、 その逡巡が、 崩れて無くなる。 止め処ない逡巡が、 その逡巡が、 胸を満たしてく。 分かたれた逡巡は、 その逡巡は、 むごく苦しくて。 思い出す逡巡に、 その逡巡に、 涙が滲んで、 見えないの。