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幾年か前の木漏れ日 過去を探して、靉靆たる想い 長く辛い悪夢の中で、 貴方のあの頃を想い出して 俄か雨の日も、 灰色世界も、 貴方の郷里を歩く 彷徨ったあの頃も、 笑ったあなたも、 戻りはしないから。 「忘れられない日に終止符を打とう、 私と貴方の未来の為に。」 彼岸花咲く道を辿って 「征こう。」 「忘れて。」 「さあ何処までも。」 霞む碑を訪ねて、 「愁う御心、國此処に在らず。」 消えない『諱』を見つめて、 短慮な金糸雀が復唱する。 失った季節も、 労いも結いも、 貴方の故郷は無くて、 たとえ消えることも、 逢えないことも、 此処には居ないから。 「忘れられない日に終止符を打とう、 私と貴方の記憶の為に。」 進み征く時間の真ん中で 「征こう。」 「一緒に。」 「さあ何処までも。」