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私は既に 死んでいる様です。 体はじきに 朽ちて腐るのでしょう。 忌み名は既に 決めて在る筈です。 あなたも既に 意味に埋もれるのです。 廻る 廻る 命を、 崩して 常闇の中へ 黒くて深い水の淵に、 薄汚れた手 血まみれ 泥だらけの手を、 何処かへ 隠して 消えたの。 此の世は既に 毒が回り続け 足元さえも 崩れてしまうでしょう。 過去も未来も 脆い移ろいでしょう、 意味も無いから 嘘に縋るのでしょうか? 私は未だ 死んでいる様です。 なのに全てを 感じているのです。 鼓動が今に 打ちかけているのは、 あなたが今も 其処にいるからでしょうか? 廻る 廻る 思案に、 甘ったるい香りで誘われ、 眩しく暗い海の奥へ、 それは私を 包んで 浮かばせていった、 最期で 最初の 泡沫 息をして、 鏡を割る 砕けた眼で、 針を刺し続けた。 宵祭、 辿り着いた、 先で頽れた。 釘を刺せない儘だった。 軈て 時は巡り、 目を醒ました先、 首を回していた。 眉唾に 光刺した、 黝い海の 底で、 其処で浮き上がる。 私は既に 死んでいる様です。 あなたも既に 此処で沈んでたの。