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道端に咲いた花の、 色を忘れてしまった。 そんな記憶すら捻じ曲げて、 縺れてゆくのです。 名前の付かない花の、 色を覚えているのです。 今すぐに忘れるようにと、 ナイフを入れたのです。 ノイローゼを起こした音に、 ノイズが混じり音を塞いだ。 未だ逃げ出せずに囚われていた、 あなたの所為で。 憂き身を窶す咎人も、 カセットの中のエゴイズムも、 迸る潮に流された、 全て夢の様でした。 漏れ出した黒い液が、 まだ身体に染み付けている。 反芻を繰り返し、 掌でこ途切れていた。 吐き出した光る液の、 味を忘れられずにいる。 剥がれ落ちた仮面の向こうは、 黒塗りだったのか? 彼方の産声が響いて、 | 双極的に踊り狂い、 いつか見える夜を信じていた、 | 帰り道にヒグラシが鳴いて、 幾度も揺り籠を揺らし続ける、 | 不死のイデアを生み出し続けていた、 あなたの性で。 | あなたの性で。 篝火の中の絵本も、 虹の掛かった曇りの空も、 濡れたままの指を翳した、 全て夢の様でした。 ただ歌っていた、 意味も理解らずに、 答えを求めた、 辿り着く場所で。 叫び続けていた、 嘆き続けていた、 祈り続けていた、 朽ち果てるまでに。 この歌の意味は? この歌の意図は? この歌の意志は? この歌の意趣は? 愚か者の意識は、 慰む金色の花。 支配されていた人々は、 現世の光に呑まれてゆく、 契を交わしたかの愚か者が、 現実をみる。 此処に残された手紙も、 君という名の一番星も、 私の一部なるあなたも、 全て█の様でした。 ノイローゼを起こした音は? ノイズが混じりやがて消えてゆく! 終止符を打てずに聞こえた音は、 夢の様だった。 四芒星に込めた歌が、 符号に寄せた支配者の声が、 彼は誰の空に響いてゆく、 全て夢の様でした。 全て夢の様でした。 全て夢の様でした。 全て夢の様でした。 未だに顕にならない詩、 妙にずれた線と点が視える。 間違いだらけの咎人が、 免罪を望んでいた。