: 232
: 19
やっと聞こえた雨の音、 静かに滴り消えて行く、 水面が揺れるその水に、 夢と一緒に堕ちて消えた。 枯れ果てた虚空の地面は、 欲望に塗れた魑魅魍魎、 重なった雨が降るのならば、 耐え切れず溢れてしまう。 閉ざされていたトンネルに、 入ってみた瞬間に、 流れ出す走馬灯、 雨は音を上げ飾り付ける。 決して忘れないでいて下さい、 声は思いを汲み取らず。 きっとまだ、縋るでしょう。 一人でただ、それを操る、 晴れる空と、めぐる因果、 分かち合える日々はやがて、 次第に、萎れた花の様に、 呆気ない末路を辿るでしょう、 それを知ることが出来たら、 何が変わったのでしょうか。 後ろめたさを抱えていながら、 色褪せることはないのですから、 焦る必要はありませんね、 電話機が四回鳴った後、 応答が聞こえます。