一双の腕が引き抜かれて、 氷は掬い取れず、 朽ち果てた街は疾うに廃れ、 形骸化していった。 一双の腕が引き抜かれて、 灯すら壊せなく、 追いかける間にも時は進み、 誰もいなくなるのです。 臨み藻掻いて、 集い始めて、 薄明に聞こえた、 声は途絶えました。 押し寄せた靄の中、 縋る東雲に海豹鳴き。 手暗がりで何も見えず、 自我は消え失せ、 尚も見えなくて。 取り憑かる様になり、 泡沫に見る双の佇み、 後悔の末に死と為り、 屍となる。 全てあの世の所為です。 一双の口が引き抜かれて、 伝えることは出来ず、 朽ち果てた街は疾うに廃れ、 彷徨い続けていた。 一双の口が引き抜かれて、 音を出すことは出来ず、 誰かの所為と言った人すら、 彼の世に消えて行くのです。 臨み藻掻いて、 集い始めて、 仮初に聞こえた、 声は途絶えました。 行方は知らず、 雲隠れの当人に啄む、 心を尽くす風景の、 静が蕩けてゆく。 押し寄せた靄の中、 縋る東雲に海豹鳴き。 押し寄せた靄の中、 縋る東雲に海豹鳴き。 手暗がりで何も見えず、 自我は消え失せ、 尚も見えなくて。 取り憑かる様になり、 泡沫に見る双の佇み、 赤く染まった双の腕が、 引き抜かれてたのか。