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闇夜に浮かぶ朧月よ、 誰そ彼の歔欷を吸い込んでくれ。 紫の空に留めるのは、 やむ終えず離す遺意ですか。 風上にも置けぬその流れが、 忌々しくて愛おしくて。 それは完璧を気取った上、 怠惰の末の産物でした。 過去から過去へと転移し、 名を穢すのでした。 推敲を重ねるその意味とは? 橙の灯の含意とは? 散り散りになるその因果は、 穏やかでつめたかった。 怎夢に魅せられ成し得た、 0と1の構成群が。 此岸と彼岸が繋がる時、 いつも珠玉の下に。 語り部の雨宿りは、 見ていて心地の良いもので、 普遍的な理を諭して、 静かに立ち去るのでした。 気の向く儘に、 路傍を歩いた罪人すら、 ホオにツタうナミダをヌグう、 キえてしまいたいよ。 いつか、思い出の作品には、 彼と私の憬れと、 日の出づる頃の気概と、 哀愁とが刻まれる。 その後の救済と恋文は、 三角と四角の中に在る。 珠玉は私達を照らす。 全てわたしの言の葉。 無知だったことが懐かしいよ、 何も出来なかった過去だけど。 そんな日々が今や恋しいよ、 戻れることはないけど。 心地よい音は頭蓋に響く、 テレメトリ信号は指し示す、 教えは心骨処に滲み、 不快な音を消していく。 表と裏は隣り合わせで、 名の無い星は井戸の先に見え、 幽きバケモノは空に溶ける。 全てあなたの所為です。 駄作に被さった傑作は、 小さな決心の努力が故、 最後やも知れぬ捨て台詞、 全てあの日の所為です。