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片の手すら掴めなく、 振り向かず進んで行く、 絢爛のかんばせは、 二度と向かないのです。 片の手すら掴めなく、 悔やんでも切り落とせず、 石化した走馬灯で、 延命するのです。 注ぎ口を塞ぎ 腐るまで芽を隠す、 隠し宝箱が消え去るまで 鈍でいました。 明晰夢から覚めても、 壊れた日傘は開かずまま、 酷く汚れた麻袋には、 毒の素をばらして埋めました。 ひび割れは暈して消し、 華だけ焦点合わす、 ネリネが枯れるたび涙に浸かる。 事切れていた。 全て数多の所為です。 片の目すら奪えなく、 添えた塩はあしらわれ、 あのマスカレードはもう、 廃れていたのでした。 片の目すら奪えなく、 電信もすげなく切られ、 不規則な言の意は、 誰も知らないのです。 くわばらと謡う、 救いを乞う眠り人は、 痺れの飴を飲み、 自我を落とし 朧げに目覚める。 死で今世を妥協する、 後に鎮めど、 天日を見ては泣く、 ゆえに終わる。 赤く染まり肉となる。 明晰夢から覚めても、 壊れた日傘は開かずまま、 酷く汚れた麻袋には、 毒の素をばらして埋めました。 ひび割れは暈して消し、 華だけ焦点合わす… 息絶えず苦しみゆく、 現実の中でした。