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辺り一面 人の波 夜の中で消えそうな街頭 ここは 深夜零時で 誰も知らない世界 消える街明かり 唯一照らした 三日月を ただ ぼんやり 眺めていたら 僕の知らない 僕がいた 前は止まれ 車たち 唯一照らしたのは 赤い月 ぼんやり眺めていたら 僕を置き去りにし 消えて行った 揺れる水面 騒ぐ木々 降り出した雨は 止む気配なくて 傘を 刺して見てきた 僕の知らない世界 赤い丸の中 一本だけの 斜めの線 ただ ぼんやり 眺められずに 僕はそこから 逃げ出した 前は止まれ 僕もまた 止まる気配は まるで無くて 白い橋を渡る途中 僕は少しだけ 幻影を見た