朝餉
フェアシャヒテルト | 5 | |
65 | 珈琲を淹れる其の手を、 ネガに焼き付けて、 書見をする其の目が、 短針に刻まれた。 雑言が漏洩する口を、 マイクロフォンが嚥下して、 反射する思考を 音響が 代弁したのです。 嗚呼、 退屈なのです。 彼らの為す事総てが、 会話 合間 暇 睡魔 予め構成された様で、 蜘蛛の糸は、 垂れ下がり、 四肢ある者に、 待ち更けている。 受動態に成り下がった動詞は 唯家路を徘徊するのですか? ノイズ交じりのブラウン管を、 ステレオカメラで咀嚼しては、 砂利の混じった真空管を、 二進数で反芻する。 嗚、 怠惰なのです。 私の感ずる物凡てが、 互換 蜜柑 保管 移管 前以た陣容の様で、 蜘蛛の糸が、 多角形作り、 意思ある者に、 待ち疲れれてる。 制御を奪われた中枢は、 亦路地を逍遥するのですか? 双つの頁に此の身を挟み、 折れた部分を枕にし、 随分見飽きた此の場所で、 未だ尚、眼を瞑るのです。 |
縁 | 7 | |
143 | 冬枯れの己の内に、 何を見つけるのですか? 淡雪に埋もれし記憶を、 嘆きつつも掘り起こす。 曖昧な境目渡り、 在るべき場所を探す。 漂う寒気の中で、 遂に辿り着いたのは何処? べつ心をなぞらえども、 真意は伝わらぬままに。 堅固の遮蔽の二度音が、 凍てつく心を打ち砕く。 冬枯れの己の内に、 何を見つけるのですか? 刻一刻と春めく空に、 遂に解答はあるのだろうか。 薄陽に蔽わる追懐を、 辛うじて辿る小逕に。 凍てついた幻想を溶かし、 そこに在る真実に辿り着く。 寂寥の底に潜むものは? 陽光に包まれるのは? 触れんと欲して及ばず、 まだ朦朧と佇んでいた。 堅固の遮断の五度音に、 冽やかに包まれながら。 冬枯れの己の内に、 何を見つけるのですか? 揺蕩う蕾に、 朧月の光を訪ねつつ、 ひこばえの兆しを見守り、 燦爛と躍迴る。 堅固の遮断の増九度、 冽やかに包まれながらも。 冬枯れの己の内に、 何を見つけるのですか? 未だ見ぬ、己の内を、 探し続けるのです。 |