|
1412 |
星は今日もまた輝いてる、
いつかに辿った光として。
届きそうに手を伸ばしてみて、
掴めないなんて知っているのに。
ささやかな嘘をつく、
綺麗な花束であるために。
誰かの心に響きたくて、
唯、
浮かぶ星の様に。
扉の手前で差した傘も、
風に運ばれる花弁も、
全てが軌跡と成りゆくなら、
そう思えていたならよかった。
雨は今日もまた降り続ける、
いつも通りな匂いを連れ。
拙い指で描いたノート、
何かの足しにはなれないまま。
あざやかな
ぐうぞうは
わたしに
なりきれていますか?
こころのおくで
のぞむこえが
まだ
見つからずにいて。
扉の裏側に在るものも、
華になぞらえた便箋も、
全ては軌跡と成りゆくから、
って信じて止まないだけ。
過ちも、後悔も、
―過ちも、後悔も、―
あした思い付いた答えも、
―護りきれない弱さも。―
「それでいい」と、
唯、
子供騙しでしかなくて。
――信じたくて――
扉の裏側に在るものも、
華になぞらえた便箋も、
全ては軌跡と成りゆくから、
って信じて止まないだけ。
足下で閉じたままの傘も、
いつか芽吹いたその季節も、
全てが奇跡を為しゆくなら、
それを魔法と呼ぼう。
星は今日もまた輝いてる、
いつかに辿った光として。 |