全て蛹の所為です。
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275 | 這い寄る時間軸で、 正気を取り戻して、 夏の宵に目が冴え掻き毟る。 微睡みもなく。 止むことを知らない小糠雨が、 遮蔽も許さない奏となる! いっそ転がり堕ちてしまいましょうか、と、 嘆き、身体を苦しむ。 死に至るまで。 また一輪身罷って、 夢乞いも興醒めて、 東雲が熱を冷まし始める。 消えた月夜見。 「無尽蔵に埋め尽くした記憶で、 朝を知ってしまう!」 どうか忘れさせてほしかった、 全て蛹の所為です。 |
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244 | マゼンタは最早不要でした、 可視光線に毒されては、 摩訶曼陀羅華の匂も、 分かりやしないのでしょう。 綺麗なものである! 蹲って、 持ち寄っては井戸に詰め、 わたしは止まりません。 寄る辺もなく死に絶えましょう。 由無し事を連連と、 何も為せずに平生の中、 全て蛹の所為です。 |