全て常世の所為です。
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穴の空いた二つの心臓が、 隣り合わせになり、 戻れなくなったその時には、 顔が消えていたのです。 穴の空いた二つの掌で、 水は掬いきれず、 最期に遺したその言葉は、 忘れられるのでしょうか。 失った両の腕、 けれども美しく。 檻の道では、 短慮のそれを埋める。 不快な音のその先、 何度輪り廻っても、 怯えた箱と響くアラームが、 手を取り合った、 黒の深い場所へと。 不合理な因果の果て、 意味の無い叫び声が、 喪ってからの後悔なんて、 遅すぎるのです。 全て常世の所為です。 穴の空いた二つの心臓が、 睨み合っていました、 硝子を叩き膨らむ怨嗟、 逃げ込んで来たのです。 穴の空いた二つの掌で、 弄ばれていた、 消えずに遺ったその恨みが、 忘れられないのです。 心地よい音、 なのにおぞましく。 背伸びをしても、 針は届かないのです。 ただゆるやかに死を待つだけで、 誰も止めようとはせずに、 絵具に毒をそっと混ぜ込み、 負の連鎖に陥り抜け出せず。 不快な音のその先、 何度輪り廻っても、 怯えた箱と響くアラームが、 手を取り合った、 黒の深い場所へと。 不合理な因果の果て、 意味の無い叫び声が、 沢山の音を繰り、 私を欺いたのか。 |
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古びたゲームカセットを、 挿し込んでみたら、 突如として目眩に襲われ、 遠く描いた夢の中、 化けた顔が覗いていて、 怖くなって閉じました。 古びたレコードの如く、 何処か香ばしく、 信号の先を行って、 前も見えなくなるのです。 たわけた言葉で脅かし、 記憶から消えずにいる。 心地よい音は鳴らせずに、 嘘を塗り重ねてゆく。 湧き出てきた僅かな水は、 既に苦かった。 声が擦れてふらつきながら、 あなたの事を追いかけた。 左右への移り方は、 表向きの碧玉で。 溢れ出た濁る液体に、 舌を差し出して、 左右も分からなくなり、 自らに酔い溺れる。 心地よい音は鳴らせずに、 記憶から消えずにいる。 たわけた言葉で脅かす、 全て常世の所為です。 心地よい音は鳴らせずに、 記憶から消えずにいる。 たわけた言葉で脅かす、 全て__の所為です。 沢山の音が近づき、 私を欺く。 |
スーアサイド | ||
孤独な円を描く怠惰は、 耽々と人を狙う。 夕焼けが眩しいあの日のあなたを、 想い出すのです。 見上げた空は既に暗くて、 光線が此方を指す。 砕けたラピスラズリの破片の先、 水の音がした。 向かう先は存在せぬ街、 逃げ出して笑い合った。 心臓に触れぬ様、 釘を打ち込み、 点を描き出す。 彼らが目指した楽園とは? そして今の幻聴は? 帰らぬ人を見ては忘れていく、 未だ終止符を打てず。 甘い蜜にも、 虚像の群れが、 神経内で破裂して、 蝸牛で響きました。 今、確かに見えたのは、 腕が外れた模造品たち。 敵対する二つの生命が、 鏡をかたどるのです。 心を潰した職人すら、 灯篭の目を齧った。 根も葉も無い事を喋り尽くして、 矢を射るのですか? 狡く光るその羅針の下、 燃え盛る火種が吠え、 血液の循環が悪くなり、 視野が狭くなるのか。 負の連鎖はもはや歯止めを知らず、 独りよがりを知る。 人を殺したのもまた人で、 全て常世の所為です。 偶然を装うその糸は、 じりじりと歩み寄って、 ひとり、またひとりと消えてゆく、 全てあなたの所為です。 |
ニライカナイ | ||
真っ黒に染まる箱庭で、 鵺が夜中に呻くのです。 鵺の声が聞こえたのなら、 あなたは連れ去られていく。 抵抗しても意味は無いのです、 川底へ落とされます。 鵺の声が聞こえぬのなら、 あなたへの疑惑が増し、 抵抗しても引き込まれて行く、 常世の国へと。 海の底へ沈めば変われて、 小さな窓の向こうに、 居るのが誰がも分からないのに、 あなたは入り込むのか。 逃げて、逃げて、と繰り返せば、 すぐに飲み込まれ。 数メートル先の井戸が見えたなら、 海へと沈む。 鵺の声は鳴き止まないが、 あなたは近づいて行く、 噎せ返る様な嫌悪の中で、 誘蛾灯が光っていた。 鵺の声は聞こえていますか、 あなたは垂涎の的。 微醺を帯びたその欲望すら、 常世へ消えていく。 変わらぬ声に安堵をしても、 掌に踊らされ。 擦り硝子の中での独唱が、 全てを壊すのでしょう。 逃げて、逃げて、と繰り返せば、 すぐに飲み込まれ。 数メートル先の井戸が見えたなら、 海へと沈む。 暗闇の先、手を伸ばし、 彼方へ飲み込まれ。 信じ難い眉唾の噂です、 忘れて下さい。 新しき闡明は、 訥々と語り出す。 曇り雨の中、赤青と変わる、 此処は何処なのでしょうか? 逃げて、逃げて、と繰り返せば、 すぐに飲み込まれ。 数メートル先の井戸が見えたなら、 海へと沈む。 暗闇の先、手を伸ばし、 彼方へ飲み込まれ。 信じ難い眉唾の噂でも、 背後に御用心。 |
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カンテラの火が灯したのなら、 黎明の空に憧れ、 濫入された地下の大部屋では、 御守りを下げる。 自我を失ったロボトミーが、 憂鬱な電波を受信して、 裏表可逆の熱病は、 ニトログリセリンの様で。 さらわれた声、 背伸びをしては、 露呈して溢れ出した。 誰も知り得ぬ感情が今、 ぽつりと零れていく。 その液体は冷えて固まって、 通り道を塞ぐのです。 それは万有引力の様に、 シグナルを送り、 もがく腕や足は意味をなさず、 回れ右を誘導させました。 地面に葦がつかぬ様にと、 不器用な手で慰めて、 N×8の魔除けなんてもう、 同じ事でしょう。 井の中の蛙は何を見た、 吐いた嘘を信じ込んで、 蟠りが解けず苦しめば、 楽になれるのでしょうか? 涙を流し、 居所は消え、 出鱈目に私を呼ぶ。 誰も知り得ぬ感情が今、 ぽつりと零れていく。 その液体は冷えて固まって、 通り道を塞ぐのです。 それは万有引力の様に、 シグナルを送り、 もがく腕や足は意味をなさず、 回れ右をするのです。 言葉が出ずに、 水底へと沈みました。 全て常世の所為です。 誰も知り得ぬ感情が今、 ぽつりと零れていく。 その液体は冷えて固まって、 通り道を塞ぐのです。 それは万有引力の様に、 シグナルを送り、 もがく腕や足は意味をなさず、 回れ右をするのです。 言葉を忘れて、 沢山の音の波が、 私を操る。 |
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ニライカナイ[short] | ||
真っ黒に染まる箱庭で、 鵺が夜中に呻くのです。 鵺の声が聞こえたのなら、 あなたは連れ去られていく。 抵抗しても意味は無いのです、 川底へ落とされます。 鵺の声が聞こえぬのなら、 あなたへの疑惑が増し、 抵抗しても引き込まれて行く、 常世の国へと。 海の底へ沈めば変われて、 小さな窓の向こうに、 居るのが誰がも分からないのに、 あなたは入り込むのか。 逃げて、逃げて、と繰り返せば、 すぐに飲み込まれ。 数メートル先の井戸が見えたなら、 海へと沈む。 鵺の声が聞こえたのなら、 |
没。 | ||
ビーカーに注いだ水、 乾かない物差しが決めます。 赤い靄の積が、 夜中に囁くのです。 わたしは血液です、 あなたは何者ですか? 運び込まれ順番に立つ、 全て常世の所為です。 |