全てすべあなの所為です。
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1934 | 明瞭な痺れの中、 見上げていた風車。 芽吹きすら忘れてた 暖気へと向かう。 滑脱せし水滴を、 見越していた三面鏡。 葛から放たれる 疎雨となるでしょう。 鱗を纏った息は融和して、 溶液を零してく。 天涯孤独な羽は化合して、 落下しているのだ。 わたしの手紙は軋轢に壊れ、 ホチキスで留めた木陰は爛れて、 開豁とした黒色の鍵は、 暗闇の窓を閉じ込める。 短絡された白色の烏は、 孤身の蚕を嘲るでしょう。 液晶の囚われ人は逃れられず、 全てすべあなの所為です。 螺旋を描くネオン管が、 霧の様に纏わりつく。 汽車の如く惑星系が、 歩みを進める。 錯覚を加速する 栞が示す秒針が、 覆われたフィラメントの 枝を焼き尽くす。 絡まったコードは、 名を築き上げて、 義手で燃料を掴み取る。 パンデミックを 起こす要塞は、 胡蝶の夢となる。 あなたの眼は劇薬に潰され、 斜陽に照らされ焼き焦がされて、 積乱雲に呼応する脚は、 黒鉛の波に呑まれてく。 虚構と化した崩落の海に、 蜻蛉が溺れ躰を溶かす。 演奏に冒された看守は助けられず。 全てあなたの所為です。 |
ヰ | ||
携帯ゲームの中、 腐り果てていて、 そんざいな過去を失ったが、 読み手は遠のく。 この夢に炙り出た高低差が、 パンドラを招き、 心地よさに紛れた冷徹な、 奴隷に過ぎないのです。 湧き出た光る水を、 飲んだ者たちは、 骨髄の中が溶け始め、 立っては居られず。 この現に紛れ込む彩光弾が、 蝙蝠の如く、 蒙昧に抗う湖に、 落ちようとしているのか。 |
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化石の中に 堕ちる鐘 傾斜の為に 広がってく 仮定の底から 湧き上がる 軽度の誤算が 毒と化す 重たい 枡の目が 短気に 振る舞う 微睡みの中の 要塞を壊して 空中に パンデミックを起こす 其れは唄の 仮死を予感して 大きな刃先で削り取る 明日の毛糸の中の 記憶が破綻して 融けていた 弾丸を掻き集め 彼は不可能な 独房に囚われる 全てすべあなの所為です。 梁に凭れる 腐敗臭 四肢の隅々まで 冒してく 束縛された 飛行船が 時の流れを 塞き止める 木の葉に 黄昏る 書斎が 仇となる 令月の窓辺は 揺落を眠らせ 快楽は 音を立て崩れ行く 深い起電力を求めて 汚れたフィルムに写し出す 年月を経ていた 業力に回され 軌道上に欲望を 振り撒いた腕は 堅牢な十字架に縛られる 全てすべあなの所為です。 |
スラント | ||
流し込こまれた絶縁体が、 非情な坩堝に飲み込まれる。 どうして舵を取らず儘に、 心臓が動きますか? 立ち上がり、 頁を捲り、 破片を集めるのです。 其れが鹵獲された劇物で、 菌糸を伸ばすのなら、 暗号化された卑しさは、 意味を持たぬヘドニズム。 喰らい尽くす。 何も残らず。 飢えは満たされず。 全てすべあなの所為です。 流し込こまれた絶縁体が、 |
滑脱 | ||
時の中、擦れを生じ 音を立て崩れゆく 紙のような磁力線が 指すほうに皆は行く 空の中、穢れを生じ 降り積もり割れていく 影を持ち木馬に乗った 陽子に刺されていた 虚栄心に満たされた扉をくぐり 進んだ先は偽証の中、 鉛に侵される過程の際、 蒸気の温度は高く。 その指先で触れた 流木は崩れゆき、 残った形は波へ消え 落とされた視力で 目を凝らしてみた 意味などなかった歴史を諳んじ 割れていたラジオ ノイズを発し続け 励起状態の風を見る 悦びを求め 合成されていた インクの粒子が陰陽を描く |
/ [short] | ||
光に抗って眼を凝らし 矩形波の流動を記憶にとどめた 腑に孕んでいる見つかった思慮を 墓石に刻んだ過去迄もを 坦懐を夢に見た色相環が 頭痛を伴って表裏に現る 理解に凍えるサイン波をくぐって 陰に崩れる医学を見た 汽車のような惑星系が 手を伸ばし転がり始める 虚数に見とれてた肺を隠し 異端の測定不可な分子を用いて 経度測る、世界は崩れ もう戻らない。 全てすべあなの所為です。 |
天涯 | ||
差別が瓶詰めにされ 街中で売られる 音符のディテールが 溶媒に染み渡る 帰還した電線が 街灯に照らされ ふしだらな気化熱を 発し続けるのだ 加速を巡った機関車が 戒律の中で欺く 深い赤色のテラスが 光につられて暴れる 砂時計の中 分散していた光芒が 音波により害をなす 木目のリズムに変換された 横で見る過冷却な 電話線が群をなし 酸味を伴う 機動力になった |
/ / / [short] | ||
化石の中に堕ちる鐘 傾斜の為に広がってく 仮定の底から湧き上がる 軽度の誤算が毒と化す 重たい枡の目が 短気に振る舞う 微睡みの中の要塞を壊して 空中にパンデミックを起こす 其れは唄の仮死を予感して 大きな刃先で削り取る 明日の毛糸の中の記憶が破綻して 融けていた弾丸を掻き集め 彼は不可能な独房に囚われる 全てすべあなの所為です。 |
//[FULL] | ||
この手にハリネズミのような 電波を持ち 鑢をかけた 夜の街が鈍く輝く 捻じれた蝋燭の如く 秩序を断ち 分綴した付和雷同な 焦点を模る 繊維の中の聴覚が 遮蔽の終わりを告げる あなたの厭わしき 願い事が叶い カーテンが再生をしていると 枝が伸びて フィラメントを覆い 陰を生み冷媒が育った 海は青白く 不気味に光っていて 木偶の坊を笑ってるようだった 愛おしき立方体が 砕け、割れる。 全てすべあなの所為です。 強い言を手回しにされた 糸を吐いて 痛痒を感じない 暖炉を弔う 不遜の回生ブレーキが 遺灰を撒き 痩せこけた地回り船が 閃光に先立つ 木霊するコロイドが 照度の穢れを告げる わたしの浅ましき 離岸堤が崩れ 望遠鏡が警鐘を鳴らし 彫刻の一等星が 鉄の天秤に 融和し始めた 水の分子から 変則格な黒い 密告者が錆びた線路を洗い 不条理な愛唱歌を 歌い、叫ぶ 全てすべあなの所為です。 |
開豁 | ||
変圧器の抑揚が 人差しの指へと流れてく 破傷風の憂いを堪えている 虻が飛び立った 加速度的に乖離する 与太者は贖罪するのでしょう 三角形に留まる嵐は 薄れ消えていく 稲穂の反動が呼び寄せた 暮靄の毒蛇が溺れ死ぬ 惚けた糸に 魑魅魍魎な 残響がしがみつき離れない 他愛もない鮮やかな炳誡が 歩みを進め往き回帰する 高声々に 主張する藻は 弊習を受けるでしょう |
月に照らされる夜道を歩いて | ||
気が付けば日は沈んで 周りに人は誰もいない しかたなく一人で帰る ぬれた帰り道 二つに折れて捨てられたかさ 水たまりにうつるかげ 目の前をよこぎるこねこが 暗やみの中に消えていく 雨の匂いの中、星を眺めて しめった風を顔に受ける 月に照らされる夜道を歩いて 大きく息を吐く 雨の匂いの中、星を眺めて しめった風を顔に受ける 月に照らされる夜道を歩いて 大きく息を吐く |
ヱ | ||
体中に挿し込まれてく、 暖かな六角形が、 脳の奥を蝕んでゆく、 欠落と共に。 零れ落ちた失踪者は、 ナメクジと共に消えた。 それは表面張力の、 真似事の様で、 枯れた水はもう二度と、 戻りはしないのです。 酔いしれていた、 境目の中の現実は、 全てすべあなの所為です。 体中に挿し込まれてく、 |
没曲_ | ||
インスト曲 |
没曲__ | ||
インスト曲 |
火種_SBSBremix | ||
大きなその指先で、 綺麗にそれを一摘み、 泣きっ面を狙う蜂の如く、 全て砕けてく。 全身を奮い立てて、 閃光の絵空事始めたら、 飛んで火に入る夏の虫如く、 どこか香ばしく。 気持ちの下に、 野垂れ死ぬ。 全てすべあなの所為です。 全ての企みが潰れて、 人の風穴を紡いだら、 重くのしかかる、 岩のメタファーも、 愛し、愛されるままで。 あなたに意味を立てることや、 負荷を掛けたイミテイトすらも、 独り歩いて、 川を流れる、 灯籠の様に見えたのです。 大きなその指先で、 迷える子羊を連れて往く、 石橋の叩かれる恐怖も、 寧ろ心地良く。 大きなその指先が、 独り歩く愚者を虐めている、 井の中 海を知らぬ蛙が、 無い袖を振るの? 気持ちの上 凭れ掛かる 全てすべわたの所為です。 振り返った其の先は、 雑踏に踏み入れた足跡、 煙に巻かれ、 ルクスを誤魔化し、 泣いても戻ること無く。 彷徨いの末 道を断った、 陽気なミメシスの職人が、 呻き声あげて 為す術を無くし、 ランタンで胴体を隠す。 全てを理解した気になり 終わった歴史を掘り返すの? 不可視の糸が絡んで 全てわたしの所為です。 気持ちの下に、 野垂れ死ぬ、 全てすべあなの所為です。 穢れた口腔をくぐり抜けた、 毒が描き出すクレバスに、 頭から堕ちて、 全てを失う、 誰も望まぬ形で。 貴方に意味を立てることや、 負荷を掛けたイミテイトすらも、 独り歩いて、 川を流れる、 灯籠の様に見えたのです。 火種は全てを焼き尽くし、 何もかもを黒く染めた。 |