全てあなたの似非です。
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1192 | 影を弔うあなたを、走馬灯で見ていた、 風に流れる海馬の中にある、寂寞一つ。 満ちることの無い往年に、身を委ねる儘でも、 その音がただ在るだけで、枷を殺せるはずだった。 枯れた葉が地を肥やしても、芽が覆われてしまい、 幾千の先人は唯、拒むだけなのでした。 あなたは誰ですか、わたしは誰なのですか、 ギザ十の泣いていた、貌すらも美しくて。 人で在らぬことは楽で、何も見えないことも楽で、 脇腹に空いた大穴に、気づかぬまま萎びる。 |
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821 | 壊れた言葉を、積み上げてくように、 影を見つめている、汚い彼の事。 数多の知に触れる程、彼方の緋に憂いて、 なぞる手を、燃える程に握って、音を立てる。 抉られた傷も、重ね合う主義も、 誰かの言葉だけで、作った空の夢。 託された数多の夢、日の入りを追う仕草。 にぎる手を、振りかざし空を切り、前へ進む。 いつかに見た銅の色、風に揺れる讃歌は、 庵を冷たい月に溶かして、鏡を見る。 体はとうに塵となり、不明瞭になって、 人の夢を追いかけても、似非となり地に堕ちる。 |
jiei | 44 | |
1074 | 書かれた世迷言と、小刻みに揺れる雨。 既に悔やまれた罪とか、どうでもいいや。 姿見とか、紅鉄漿で、天に籠って。 あなたも騙しているので。何も得ず何を得るか? 足りない言の葉を、ノイズに、 整理し、色づけられていった。 輝ける昏い過去も、腐るモルグの中。 色褪せた歌を詠んでた、似非を隠さぬままで。 |
__[short] | 41 | |
938 | 蛍光灯下の裏、 僅か、僅かの物影には、 身に覚えしか無いのです。 溢れ出した瘴気。 意味を立て、 檻をしならせ、 画面の向こう側へと。 泣き虫の叫ぶその声、 あなたへと届かずに、 バケモノとなるでしょう、 それゆえ殺すのだ、 見たか!似非を殺すサマを。 僅かな物影のその先の、 未だ登りゆく陽は、 まだ待てど、暮れど、 見えません。 全てあなたの似非です。 |
AE | 62 | |
1532 | 謀られて、操られし者よ。 十重二十重は、切れ端を作って、記憶に堕とす。 崖の下に棲む、惨い水死体を退けて、 繰り返す世界の、輪廻は加速してく。 形の無い針に、溶かされた死者の因果。 答え合わせをしても、誰かの事だとして貫くの。 嗚呼、相応しさ。もの足りぬ自我が纏う。 その国道の短さは、果てがないのです。 |