[全てあなたの所為です。]
不「」 | 94 | |
1989 | 誰も未だ戻りもせずに、 遠い海を眺めていた。 遥か先 船の行方は、 誰に聞けど識る筈なく。 彼方へと走る光は、 遠い空を眺めていた。 遥か先 夜の形は、 誰に聞けど判らず儘。 暖かい道に水の歌を贈る。 夢枕の様な心地良さに、 海岸の波の透き通った色に、 眩しい陽の光が差している、 呼吸の様に自ら扉開けて。 いつも但空を見つめて、 遠い星を数えていた。 遥か先 星の行方は、 誰に聞けど識る筈なく。 彼方へと「」(かぎ)も不「」(かけず)に、 扉を開け駆けていった。 遥か先 星の光は、 何処へ行けど離れていく。 海岸の空で星の花が咲いた。 もう少し近づけば届きそうで、 手を伸ばし空へ背伸びをして転ぶ。 空まで伸びてゆき花畑に、 夜空を照らすあの日に見惚れていた。 |
報告書 | 88 | |
2163 | 中途半端な終わり方は、 私達でも叶わずに、 少し瞳に触れたのなら、 ふわりふわりその場で散った。 見過ごされたその栄衰は、 予想以上に儚くて、 蜜を抜いた苹果の様に、 きつく酸味がしたよ。 その場を離れても、 視線はまだ私達の方向、 再生した糧は、 とてつもなく卑弱。 不快な音は止まらずまま、 光るほうから流し込まれて、 報告書に書いた考察、 とうに破られていた。 |