: 370
音の捻れが既に聴こえていた、 薔薇の華然り。 まるでアゲハが飛び回るように、 優雅を気取る庭の中で。 雨の日、 水溜り踏み、 何も獲れない筈だ。 あれ? 何かが狂っていて、 拳の中に握った。 空から降った衒ったモノの名を、 私は選ぶことはできなくて。 水っぽい冷たい感触を、 味わうことになったのです。 あの夏に買ったラムネが、 しゅわしゅわわと泡を吹いて。 カトラリーで突かれる絵が、 ルナが待つと言われ悔いて。 君の言葉で傷ついて、 君の言葉に愛されて、 君らが壊すようになり、 誰も何も思わないって? 空から降った衒ったモノの名を、 私は選ぶことはできなくて。 水っぽい冷たい感触を、 味わうことになったのです。 青色と灰色の混ざり合う視界、 お下がりのリボンを付けて。 進めど十字架に磔にされ、 月夜の明かりの下に。