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誰もいない市街、 何処にも消えず、 残る青い標識。 誰かに置いてかれ、 待ち侘びていた。 あの型は今何処へ? 其処は何もない跡地だが、 巡り廻り歩き、 ヒトが創り出すあの信号の、 謎も解けずに。 忘れられた標識は、 無意識に指を差す。 出入口も分からず、 渦を巻く世へ。 人がいない都会、 只管迷い、 何度も出くわす道。 誰かが置いていった。 待ち草臥れた。 その線は今何処へ? 此処でサイレンが鳴り響く、 時間は夜なのに。 誰かが残したあの暗号も、 思い出せずに。 役立たずの電話機は、 デマだけを集め出す。 嘘も誠も知らず、 波を打つ夜に。 彷徨い走り蹴飛ばし、 足が竦むほど、 空き缶も目覚めし転がり落ちるまで、 探し出さねばと口遊む。 忘れられた標識は、 無意識に指を差す。 出入口も分からず、 渦を巻く世へ。 役立たずの電話機は、 デマだけを集め出す。 嘘も誠も知らず、 波を打つ夜に。