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混ざりあう色たちが鬱陶しくて、 心には無音の音が重なり響く。 還り道、ヅウンと後ろの方で、 暗闇が、来て欲しそうに見つめていた。 小さな入り口で、 真っ暗な道の、 長い隧道が手を招き、 優しくゆっくりと、 話しかけてきたのです。 いやに落ち着いた声、 緩やかな協和音、 パタリと止んだ雨、 水溜まりに映った顔に、 重ね合わせてはいけません。 枝分かれしたレプトンが崩れて、 伝染する無目的的アペイロフォビア、 回転体の自我意識が二分され、 底の見えぬ孤独(せきりょう)から抜け出す。 如何なる兆候も、 示さないまま、 重力レンズの板硝子が、 滑らかな衝撃を、 強めてきたのでした。(嗚呼、嗚呼。) ぴたり張り付いた木綿、 影が長く伸びた音、 パタリと閉じる咽、 五里七町のトンネルの方、 耳を澄まさなければいけません。 小さな入り口で、 真っ暗な道の、 長い隧道が手を招き、 優しくゆっくりと、 話しかけてきたのです。 いやに落ち着いた声、 緩やかな協和音、 パタリと止んだ雨、 水溜まりに映った顔に、 ぴたり張り付いた木綿、 影が長く伸びた音、 パタリと閉じる咽、 五里七町のトンネルの方、 何度も聴こえてくるのでしょう。