: 1581
: 65
千切った哀しみは、 漸次溶けて 黒へと微睡み往く、 倐爍たる此の夕星は、 きらり、流した涙。 「変わらないで」、無常な世では 息は出来るか? 狼狽するなら、 初めから目を開けぬ儘、 静謐の海 浸っていく。 契った其の歌は、 混ざる絡まる 解ける水と為る、 円らかなる其の赤星は、 昱奕と輝いた。 「響かないや」、無情な世では 息は出来ない。 狼狽するのか? 初めから目は厭かぬ儘、 生死の海 浸っていく。 生ずる因果の海。 暮夜に照らされた此の光を。 忽ち月は星に混ざって、 未だ夢醒むる宵を待つ。 滲む視界の端は濁る、 此の気持ち 失くさずにいたから! 苦しく胸に突き刺さるのも、 何時か忘れて仕舞うのでしょう。